サトイモがおカネの価値を知り、カネの亡者になってから数か月経った。
この間、お金を幼稚園に持参してお友達とトラブルを起こしたり、送迎を依頼しているファミサポさんにコンビニに寄ると無理を言ったり、近所のお店に一人で買い物に出かけたり、親のお財布を勝手に持ち出したり(親がいくら持っているか確認したい)、とたくさん問題を起こした。
プリント1枚1円制度は続けている。
勉強におけるインセンティブは良くないと知っているけれど、無条件にお小遣いをあげるより、何らかの努力の対価として金銭をもらうほうがマシな気がするからだ。
入ったお金は入っただけ使う。
コンビニで12円のうまい棒を買うために、サトイモは必死でプリントをこなしている。
いつもお金がほしくてたまらない。
「早く大人になって、お店をやって、お金を稼ぎたい。」
と、5歳の子どもが言う。(親から無条件にお小遣いがもらえるとは思ってないのが救い。)
挙げ句、突然レモネード屋をやると言い出した。
「大人になったらミーちゃんと結婚して、レモネード屋さんをやる。高級レモネードを作って、百万個、千万個売って、それでお金をいっぱいもらう!」
レモネードなんか飲んだことないだろう、と思うけれども、私のビタミンCタブレットを勝手に出してきて、それを水で溶かして、オリゴ糖とレモン汁を混ぜ、高級レモネードだと言い出した。
確かにレモネードっぽくはある。
子どもの遊びだと甘く見ていたら、突然、
「テープどこ?あ、あった!じゃ、行ってくる!」
と養生テープを引っ掴んで家を飛び出そうとするので、
「何をしようとしてるのか言って!!」
と問い詰めると、
「ここでレモネード屋さんをやってるのをみんな知らないから、道路にテープで矢印をつけて、ここまでやってこれるようにする」
と言う。
待て待て待て!!
そんなことをされたらたまらない。
ここは、サトイモが本気だと言うことを真剣に受け止め、「飲食店をやるなら、営業許可を取らないといけないんだよ」と真面目に説得したら、やめてくれた。
なぜレモネードなのか。
原因がはっきりしないけれど、おさるのジョージか何かEテレのアニメに出てきたんだと思う。
アメリカの子どもは夏休み、ビジネスを学ぶ教育目的でレモネードスタンドを経営するらしい。
…でも、ここは日本だしなぁ。
フリマの思い出
町内会のイベントで、フリーマーケットを開催することになった。
コロナ後久々の再開だそうだ。
出店者を募集していたので、申し込んでみた。
というのも、もう遊ばなくなったサトイモのオモチャや赤ちゃん絵本が山ほどあって、整理しようと思っていた矢先だったからだ。
若いママならメルカリで上手に売るんだろうけど、それをマメにやる習慣も時間もない。
儲けるよりも、捨てるのがもったいない、というだけの動機なので、一律100円で投げ売り。
始める前は、100円でも売れゆきが悪かったら3つで100円のディスカウントにしよう、と思っていたけれど、そんなことをしなくても開始1時間でほとんど売り切れてしまった。
もっと価格を検討すればよかった。
カネの亡者サトイモは、フリマ出店を震えるほど楽しみにしていた。
リアルお店屋さんごっこ。
興奮しないわけがない。
張り切って張り切って、数日前から、
「荷物を運ぶのはボクにまかせて!」
となぜ知っているのか夫がクローゼットにしまっていた台車を勝手に出してきて、商品を紙袋に詰めて並べ始めた。
台車が邪魔になってしょうがない。
当日の朝か前日の夜でいいから、やめてくれ!ととにかく気分を鎮めるのが大変だった。
当日も、その台車を押して会場の公園まで行くとゴネて困らせた。
お願いだから車で搬入させてくれ!
お店屋さんとしては、一応サトイモはポップを書く手伝いをしたり、商品の陳列も手伝ったし、売り子もした。
「これほしい?じゃあ、100円だして!」
こらこら!お客様になんちゅう言葉遣いだ!
とはいえ、知らない人にも物怖じせず店員ができるのはサトイモの才能だと思う。
フリマ開催中のトラブルは、サトイモが売上金を勝手に持ち出してしまうことだった。
子どもがお金を許可なく触るのはいけないことだし、売上金の辻褄が合わなくなってしまう。
持ち出したお金は、ほかの露店でフランクフルトやたこせんを買うのに使った。
気持ちはわかるけれど、それは親に頼んで出してもらうべきもので、売上金を勝手にくすねてよいものではない。
それで私とケンカになったのだけれど、サトイモの理屈としては、
「ボクのオモチャなんだから、ボクのお金でしょ!」
と云うわけだ。
終了後家に帰ってから、カネの亡者は私に売上金を渡せと言って泣きわめいた。
「ママがボクのお金を盗った!!ボクのお金を返せ〜!!」
まったく人聞きの悪い!!
子どもに千円以上の金額を渡していいか迷ったけれど、結局根負けしてサトイモに売上金を渡した。
2,300円もの大金が、あっという間に駄菓子に消えたのは言うまでもない。
お年玉がやってくる
「ボク、お正月にじいじやばあばから紙のお金をもらってたよね?あれどこにやったの?」
「ちゃんと銀行に貯金してるよ」
「見せて」
見せないと絶対に納得しないだろうから、通帳を見せた。
それ以降、ことあるごとにサトイモは、
「ボクの銀行のお金をおろして!」
と言うようになった。
スーパーなどで、買って買って、ダメダメ、という応酬があると、
「ボクの銀行のお金で買えるでしょ!自分で買うから銀行でおろしてきて!」
というわけだ。
「銀行のお金は、大人になってバイクやクルマを買ったり、旅行に行ったりするために貯めておくんだよ」
「だから、子どものうちに使わないようにね」
と、私も夫も説得する。
サトイモも納得はしているようだ。
それでも、どうしてもほしいものがあると、
「銀行のお金使う〜!」
とダダをこねる。
200円のスナック菓子のために下ろせるか!
オモチャでよかったのか…
そんなサトイモに、たまたまダイソーで見かけたお金のオモチャを買ってやった。
オモチャのお金じゃ満足しないだろうと思っていたけれど、予想外にドはまり。
上記画像がそれだけれど(+郵便ポスト型貯金箱)、お札も硬貨もけっこうリアルにできている。
今はとんと見なくなった二千円札があるのも一興。
お札は全然サイズが違うし、硬貨はペラペラのプラスティックで、オモチャ以外の何物でもないけれど、サトイモはすごく気に入ってずっと遊んでいる。
これでどんな遊びをするかというと、
- トミカを売るお店屋さんごっこ
- 物の値段から、それに該当する金額を揃えるクイズ(例:8,500円→五千円札&二千円札&千円札&五百円硬貨)
- 万札を投げて空中で掴む“万札キャッチ”
- お札を折って立てて並べ、トミカのコースを作る“お金のガードレール”
- お札を裏返して並べ、両端の金額部分を2台のトミカでそれぞれ隠して、神経衰弱的に同じお札を当てる“お札合わせ”
よくまあ、百均のオモチャでいろいろ思いつくなぁと感心する。
ひとまずこのおかげで、お金がほしい、と親にねだるのは落ち着いた気がする。
「ねぇママぁ!自動販売機にこのおカネ入れてみていい?もしかしたらジュース買えたらどうする?!」
今度はいろんなところでオモチャのお金を使おうとするので困っている。
やっぱり悩みは尽きない。