奇才サトイモの元気が出る発達日記

発達障害(ADHD&ASD)の息子サトイモの子育て日記です。

学校の個別懇談

先週火曜日、小学校で個別懇談があった。

事前に教頭先生に問い合わせていた案件があったので、教頭と、なかよしの担任との三者での懇談会。

問い合わせていた案件というのは、今年2月に神戸市の特別支援教育相談センターで検査を受けたときに、アドバイスをまとめた「育ちと学びのシート」というレポートがもらえるはずだったのに、まだ私の手元に来ていない件だ。

センターに問い合わせたら、とっくに学校へ渡しているという。

私かサトイモが紛失した可能性もあるので、恐る恐る聞いてみたら、やっぱり受け渡しが漏れていた。

懇談会の冒頭は、受け渡し漏れに関する教頭の謝罪から始まった。

やっぱり…。

検査を受けたときは、サトイモが来年、特別支援学級でどのような支援を受けるのが望ましいか、このアドバイスを元に支援計画を立てましょう、という話だった。

特別支援学級に入るにあたって、検査を基にしたカリキュラムが考えられている、と期待していただけに、すっかり忘れられて無策で授業を進めているのではないか、と疑心暗鬼になっていた。

学校側は単なる書類の渡し忘れだと言うけれど、センターのアドバイスを踏まえた授業計画なんて、はなから考える気なんてなかったのでは?

 

学びとは何か?

私はあんまり上手に話せない。

「すごくおしゃべり」らしいけど、話にまとまりがなく、だらだらと長いから、何が言いたいのか伝わらない。伝わらないから言葉を尽くすと、余計に何が言いたいのかわからなくなってしまう。

先生方にも、私が言いたいことは全然伝わらなかった。

今、振り返って文章で箇条書きにしてみると、こんなこと。

  1. 個別指導プリントと作業的な工作(指示通り作るだけ)が繰り返される今の授業内容では、サトイモに楽しさも学びの達成感もなく、好奇心をひかれるものもなく、創造性も発揮されない。これでは学校へ行くモチベーションは持てない。(この内容では私が子どもに「学校に行ったほうがいい」とすすめられない)
  2. 変化がなさすぎて1時間が限度で、これを何時間も受けさせるほうが無理。
  3. なんとか少しずつでも通常学級にも参加できるようにさせたい。
  4. 本人は通常学級に対する拒絶が強いので、短時間だけの見学から始めるとか、訪問支援の先生に付き添ってもらうなどの試みをしてほしい。

書き出すとめちゃくちゃ簡単。

なのに、話は右往左往。

歯に衣を着せず、「あんたの授業がくそつまらんから学校行かれへんのじゃ!」と言えば話が簡単だったのだろうけれど、

「今の授業って、本当にあの子の学びになってるんでしょうか? 何のために、この内容をやってるんでしょうか? 学校で学ぶメリットって何なんでしょうか?」

と持って回った言い方をしてしまったせいで、会話がドツボにはまってしまった。

個別指導学習と作業、同じ授業の繰り返し、と私が言ったことに対して、担任の先生は、

「同じことと違いますよ、1時間目は国語で漢字、2時間目は算数で計算です」

と言った。

「そういうことが言いたいんと違うねん!」

と叫びたくなったけれど、グッとがまん。

「例えば通常学級だったら、理科で観察したり、社会で地図や写真見たりしながら授業受けますよね。あの子はまだ一度も理科や社会の授業を受けたことがないんですよ」

と私がそう言ってしまったせいで、

「じゃあ、理科と社会をやりましょう」

という話になってしまった。

そういうことが言いたいんと違うねん!!!

「この子の学びになること、成長につながることって何でしょうか?」

私が何度も問いかけると、担任の先生が言ったのは、

「今はとにかく毎日1時間、続けて学校に来ることじゃないですか」

そうなると、結局私のもやもやは晴れない。

だから、学校に来て何をやるのさ?

「漢字や計算だったら、家ででもできるじゃないですか。学校だから得られる学びっていうのはどこにあるんでしょうか?」

すると、先生たちは言った。

「漢字や計算は家でできるということなんで、学校では理科と社会をやりましょう」

だから、そういうことが言いたいんと違うねん!!!

 

薬を減らす

学校にほとんど行かない状態なので、いっそのことサトイモの薬を減らすことにした。

学校に行きやすくするために、ADHDの多動を抑える薬とASDの癇癪の薬を飲んでいたけれど、行かないのであれば飲まなくてもいい気がするのだ。

最初は家でも大暴れするからだったんだけど、それはもう皆無に近い。

先週の木曜日の病院受診で主治医に相談し、私の裁量に任せるように言ってもらった。

で、しばらく薬をやめてみると、明らかにサトイモが元気よく活発になった。

好奇心や意欲も増している気がする。

でも、ずっとピョンピョン飛び跳ね、クルクル回っている。

家の中なら、ピョンピョンしてても誰にも迷惑かけないからいいか…。

月曜日、訪問支援の先生が来てくれるので、この日だけ登校。

登校するから前日に薬を飲ませると、明らかに眠そうで、ずっとボーっとしていた。

訪問支援の先生からも、

「覚醒していないような状態でした」

と言われた。

薬を抜いていたのをその日だけ飲ませたせいで、裏目に出てしまったようだ。

飲ませるか、飲ませないか。

本人は飲みたくないと言っているから、余計に悩む。

薬のせいなのか、暑さのせいなのか、家の中でサトイモが全裸で過ごすことが増えた。

「せめてパンツくらいはきなさい!!」

「そのイスに〇〇〇を当てるな!!」

突然夏がやってきて、みんなイライラして戸惑っているんだ。

 

病院の裏にある公園は野鳥の楽園。オオサギを撮影する写真家サトイモ。

学校訪問支援の初めての報告

サトイモは小学1年生の2学期から不登校になった。

2年生になって、担任の先生には恵まれて学校には行けるようになったものの、担任不在時のクラスメイトとのトラブルや、担任以外の先生とのトラブルを起こすたびに学校を休んだ。結局2年生は、しばらく休んでは登校し、トラブルを起こしては休むことの繰り返しだった。

それを踏まえて、3年生では特別支援学級に移ることを決意した。

特別支援学級なら、少人数でサトイモの特性に合わせた配慮もしてくれるだろうと期待したからだ。

特別支援学級に移ることの踏まえて、学校の支援の参考になるようにと、特別支援教育相談センターでWISCの検査を受け、専門的なアドバイスももらった。

ところが。

3年生の最初2週間ほどは頑張って登校していたが、それ以降は数えるほどしか登校できなくなった。

登校しても1時間か2時間。

正直、2年生のときよりずっと悪化している。

支援級の担任の先生からは、

「1時間しかもたないんです」

と言われる。

滞在時間が2時間を超えるくらいになるとサトイモは教室を脱走、担任に捕まえられ、閉じ込められ、パニックをおこし、私にお迎えの電話がかかってくる。

「もたない」原因が何なのかがわからない。

 

訪問支援の報告書

それで、保育所等訪問支援というサービスを使って、サトイモが学校で過ごす様子を見てもらい、アドバイスを受けることにした。

先週の火曜日に訪問してもらった結果を、今週月曜日に報告してもらった。

この日、3時間過ごした授業内容はこんなかんじ。

 

1時間目:①漢字練習、②カレンダー制作、③かたつむりの折り紙工作、④ごほうびのトランプ遊び

2時間目:特別支援学級全クラス合同イベントで、カード取りゲーム

3時間目:①百マス計算、②あじさいの切り紙工作、③かたつむりの折り紙工作(1時間目の続き)、④ごほうびのトランプ遊び

 

この日は、訪問支援の先生が来てくれているせいか、普段だったら参加しない合同イベントも参加し、最後まで教室を脱走することがなかった。

「なので、『もたない』という現場を目にすることができなかったんです」

と訪問支援の赤楚先生は言った。

報告を受けて最初に私が感じたことは、

「1時間目と3時間目、ほぼ一緒じゃない?」

ということだった。

合同イベントに参加しなかったら、「プリント、工作、できたらトランプ」の繰り返しが続くだけ。

こんなの、私でも退屈してしまう。

合同イベントも、「〇〇のカードをとってください」と呼ばれた順番にカードをとる遊びらしく、サトイモには簡単すぎて何も面白みもない作業でしかないだろう。

「つまらなさすぎる…」

何の工夫も配慮も感じられない内容に、サトイモがかわいそうになった。

 

「もたない」のは累積

赤楚先生によると、

「脱走のきっかけは、何かコレっていう大きなものがあるわけじゃない気がしますね。何かやろうとして注意され、別のときにそれ違うよと指摘され、ちょっとずついろんなことが積みあがっていって、『じゃあもういいや』という気分になるんじゃないかと思います」

ということだった。

わかる気がする。

だったら、今後どんな環境配慮ができて、改善するためにはどうすればいいのか、というとことまでは、まだこれからというかんじだった。

でも、これで明らかになった。

特別支援学級に入れたのは大失敗。

全くサトイモに合わないことをやらせている。

学びも感じられない。

サトイモに足りないところを訓練するという明確な目的もなさそう。

工作にクリエイティブな要素やひらめきを形にする余地もない。

知的好奇心を刺激するものもない。

全体的に楽しさや面白さがない。

一体、なんのためにこのプログラムがサトイモに提供されているのかわからない。

だったら、なんで学校に行かないといけないのか、また、わからなくなってしまった。

唯一のメリットは、学校への行き帰りがいい散歩になるだけ。

 

そしてこの日、午後には学校で個別懇談を受けた。

それはまた次回。

最近サトイモが夢中になっているのが、トレーシングペーパーでお気に入りのものをトレースするのと、鉛筆で塗りつぶして作ったカーボン紙でそれをコピーする遊び。



 

 

ヒマは転校すれば解決できるのか!?

先週の木曜日、1時間目から登校したのはよかったけれど、結局3時間目くらいで学校からお迎えの電話がかかってきた。

またおなじみのパターン。

教室を逃げ出し、先生に追いかけられ、捕まえられ、閉じ込められ、パニックを起こす。

なんでそうなっちゃうんだろう…。

正直、いくらサトイモだって、「ここにいなさいよ」と言われたら、それくらいはできる。

私と出かけるときでも、放課後等デイサービスでも、「どこかへ行ってしまう」ことはない。

どういうときに、何がトリガーになって教室を脱走しようとするのかが謎。

なかよし学級の担任の先生に聞いても、逃げ出す前の様子がわからない。

原因がわからなければ対策も打てないし、解決策も講じられない。

サトイモは、

「先生のせいだよ~!!!」

とめちゃくちゃ怒って泣いていた。

閉じ込められたことを言っているようだが、その前のことがわからない。

 

訪問支援の先生が来てくれた

6月30日火曜日、保育所等訪問支援の赤楚先生が、学校に来てくれた。

木曜日に「もう二度と学校には行かないよ!」と泣いていたサトイモだったけれど、

「火曜日、赤楚先生が来てくれるお約束だから、この日だけは登校して」

と説得し、これにはサトイモも素直に従ってくれた。

「ぼくは、お約束は守りたいほうだからね」

なんとも立派な心掛けだ。

本来なら、サトイモが先に登校し、2時間目に赤楚先生が来てくれる段取りだったけれど、9時半に先生と校門で待ち合わせて一緒に登校するスタイルにしてもらった。

「サトイモが何時間学校にいるのか、まだ決めてないんですけど、赤楚先生は何時間くらい学校におられるんでしょうか?」

と尋ねると、

「1時間くらいを予定してました」

と言う。

一方、サトイモの学校滞在時間の希望は、「4時間目まで」。

それを伝えると、なかよし学級の担任は難色をしめした。

「無理しないでええんちゃう?3時間目までで」

「ううん、4時間目までがんばる」

思わず私も口を出す。

「赤楚先生は1時間で帰られるんやで。3時間目まででええんちゃう?

「4時間目までおる」

「3時間目と4時間目の間の休み時間は、ワカくんとも遊ばれへんのやで。それでも?」

「4時間目!」

本人ががんばると言ってるのに、先生と親が早く帰れと学校を追い出すようなことを言うほうがおかしい。

でも、もう二度と学校でパニックを起こしてほしくないから、長く滞在してほしくないのだ。

改善する手立てを何も持っていない以上、前回と同じことを繰り返す可能性大なのだから。

それでも、本人の意思が固い以上仕方がないので、4時間目終わりに迎えにくる約束になった。

途中でまた電話がかかってくるかなぁ、と思っていたけれど、お迎え要請はなかった。時間いっぱい全うした。

迎えに行くと、上履きから靴に履き替えながら、サトイモが担任に尋ねた。

「今日は何点だった?」

「百点やったんちゃう?」

先生にそう言われて、少しうれしそうなサトイモ。

帰り道で、赤楚先生は何時までいたのか尋ねると、

「お昼ごはん食べなあかんからって帰ったよ」

と言う。

どうやら予定を変更して、正午前まで付き合ってくれたらしい。

1時間のところを2時間半も!

ありがたや、ありがたや。

赤楚先生がいてくれたおかげで、4時間目まで持ちこたえたのか。納得。

 

週末は庭いじり

土日は私の実家へ帰り、庭いじり。

庭に夫が作った家庭菜園のズッキーニがえらいことになっていた。

かぼちゃ?ヘチマ?いえ、メートル級のズッキーニ。

こんなでかいズッキーニなんて見たことない。

長さ1メートル近く、重さ2キロ半。

ピーマンもジャガイモも収穫できるほどに育っていて、家庭菜園は大成功。

サトイモは自分のエリアで穴を掘ったり木を切ったりして楽しそう。

「あ!シカ!」

家のそばの山のふもとの、土砂崩れ防止策のそばまで、シカがやってきていた。

立派な角の牡鹿。住宅地のすぐそばまで。

しかも4頭も。

こんなこと、私の子どもの頃にはなかった。

増えすぎだよシカ。

友だちは、シカの被害がひどくて家庭菜園をやめたって言っていた。

うちはこのフェンスを越えてくることはなさそうだけど、よっぽどの食糧難になったら庭まで来たりするんだろうか??

都会っ子のサトイモは、シカがうれしくてデジカメでバシャバシャ写真をとっていた。

 

ヒマでヒマでやることがない

今の学校では、サトイモが登校できる目途が立たない。

だったら、どこかへ転校したほうがいいかも、と私と夫は考えている。

「きのくに子どもの村学園」がそのひとつで、そこならサトイモが楽しく学べるんじゃないかと期待しているところ。

けれど、もしきのくにに入れなかったら、「おじいちゃんち」に引っ越すのもアリかもしれない。

サトイモは「おじいちゃんち」が大好きだ。

「ぼく、将来おじいちゃんちに住むよ。ていうか、すぐにでも住みたいくらいだよ」

としょっちゅう言っている。

「お父さんは会社があるから引っ越せないよ。お父さんと離れて暮らしてもいいの?」

「いいよ~」

…いいらしい。

庭のある暮らしができるのが、サトイモには何より楽しいのだ。

神戸にいても、サトイモはヒマでヒマでしょうがない。

Switch2ばっかりやっているから、ゲーム時間の制限を設けたが、そのことで口論になることがしばしば。

「なんでゲームを制限するの!?」

「目を休めてほしいし、ゲームばっかりしてたら脳が縮むからだよ」

「ゲームできなかったらヒマでヒマで…。ゲームしかやることがないんだよ!」

「だったら学校行け!だったら勉強せえ!」

「嫌だ!」

「ゲーム以外の好きなこと、楽しいことを見つけろよ!」

「そんなのわからない!!!お母さんが見つけてよ!!」

「自分で探せ!!!お母さんに頼るな!赤ちゃんか!」

毎日、そういう言い合いになる。

一日中家にいて、「お母さん!お母さん!」と呼ばれることにイライラが募る。

 

YouTubeで配信をする

ヒマすぎて、サトイモがYouTube配信をしたいと言い出した。

「やり方がわからないから、お母さん教えて」

「そもそも何を配信したいの?まず中身を考えなさい」

「YouTubeにアップしたいんだよ」

「だから何をだよ!」

何度言っても「YouTubeのアップ」にこだわって、話がかみあわない。

「YouTubeで人気になったら、お金がもらえるんでしょ!?」

捕らぬ狸の皮算用だけはすごい。

YouTubeにアップしさえすれば儲かるとでも思っているのが浅はかすぎる。

「やりたいことがあるなら自分で調べろ!チャッピーにでも聞け!お母さんを頼るな!」

ケンカしながら、サトイモがなんとか自分で動画を作成した。

「これでほんまにアップしてええん?こんなんで満足なん?もっと工夫したり作りこんだりせえへんの?」

「最初なんだからこんなもんでしょ」

「クリエイターなめんなよ!もっと一生懸命やれよ!」

私が気に入らないのは、サトイモの作品に対する態度だ。

見てくれる人を楽しませたいという気持ちが皆無。もっと良いものを作りたい、という熱意もなくてイライラする。

褒める子育てとは真逆の態度なのはわかっているけど、ボロクソに批判してしまった。

そしてYouTubeにアップしたのが下記の動画。

これでサトイモも、二度とYouTuberになるとは言わないだろう。

 


www.youtube.com

 

だから今日は大雨です。

昨日の夕方、サトイモが親友のワカくんに電話しようとしているので、

「かけたらあかん!水曜日の6時は、ワカくんピアノの時間やんか!わかっててかけてんのか!!」

とつい怒鳴ってしまった。

「今日はワカくんはピアノやから、一緒に遊べへんてずっと言うてるやろ!」

毎日6時から7時にオンラインで一緒にゲームをしているワカくんだが、水曜日だけはピアノのレッスンで遊べない。何度も何度もそれを伝えているのに、サトイモはわかってくれない。

「サトイモとワカくんが電話できるように設定するとき、『やたら電話かかってくるようやったら困るなぁ』って、ワカくんのお母さん心配してはったんやで! 『サトイモは電話あんまり好きじゃないから大丈夫ですよ』てお母さんフォローしたったのに! こんなタイミングで電話するようやったら、『アプリ入れるん間違いやった』言うて拒否されるで!」

ほんまに、何回言うたらわかるんや!とキレ散らかす私に、

「わかったよぅ。でもお母さんキツく怒りすぎ~」

とサトイモはポロポロ涙をこぼした。

ごめんごめん、と謝りつつ、

「何回も同じことを言わされると、どうもお母さんはカッとなるみたいなんだよ~。だから、できるだけサトイモも、一回注意されたら、同じ注意を繰り返されないように気をつけてくれない?」

と言い訳をした。

そう、「前も同じことを!」というのが私の怒りのツボなのだ。

「じゃあ、注意したことを貼り紙にして、壁に貼るっていうのは?」

サトイモが提案してきた。

「貼り紙だらけになるわ」

だいたい、注意書きは読まないくせに、よく言うよ。

言われたことを頭で考えて理解するようになってほしいんだけど。

 

ヒマだから学校へ

ワカくんと遊べないことに、サトイモがグズグズ文句を言った。

「ワカくんは、あんたと違って忙しいんや。学校行ってるから!」

「ヒマだよ~、どうすればいいの?」

「じゃあ学校でも行けば?」

「わかった。明日学校行く」

まじで!?

というわけで、今朝、サトイモは学校に行った。

しかも朝ちゃんと自分で起きてきて、8時に登校。

外は注意報が出ている大雨。

こんな日に限って登校するなんてなぁ。

ていうか、サトイモが登校するから雨が降ったのかしら。

台風がふたつもやってくるはずだわ。

 

給食どうする問題

出勤途上の夫に、

「サトイモ登校しました」

とライン。

「なにがあったん!?」

夫はスタンプや絵文字を使わないけれど、その一言に驚きがにじみていていた。

「さあ。長いこと休んで充電できたんちゃう?」

「1時間だけ?」

「ううん、1時間目から4時間目まで。給食止めてるから昼過ぎに迎えにいく。お弁当もいらんって言うから」

「給食再開したら?」

「給食は食べたくないらしいわ」

「給食嫌いなん?」

そうか、夫は給食について、これまで様々はトラブルがあったことを知らないのか、と今日初めて気が付いた。

夫婦で情報を共有しているつもりで漏れていたのか、伝えたけれど夫は忘れてしまったのか、興味が薄いから話半分で聞いているのか。

去年2年生のときにクラスでクラスメイトともめたことの多くは、給食時間中だった。

アレルギー対応に加えてコロナ対策で、学校の給食の時間はどんどんルールが厳しくなってきている。

たまにしか学校に行かないサトイモからすると、「そんなルール聞いてない!」ということもあって、「ルールを守れ!」というクラスメイトと摩擦が起きるのだ。

サトイモだって、とんでもないマナー違反をしているわけじゃない。

そんなことくらい、とは思うけど、その後の対応がまずい。

注意されるとカッとなって、それからが大変になる。

そういうときに限って、担任は給食準備室に行っていて不在なのだ。

給食を別室で食べさせてもらえたら、5時間目も学校にいられるんだけど、それをさせてもらえない。

「特別支援学級で給食食べるのはダメなんですか?サポートルームではダメなんですか?」

何回か尋ねているが、学校側からは、

「それはできないんです」

と断られ続けている。

学校がルールを設ける理由もわかるが、私としては、

「だったら給食けっこうです~」

という気持ちになる。

ありがたいことに、今年から無償。

しかも手続きしたら返金まで。ありがたや、ありがたや。

とはいっても、これまで学校に行きもしないのに給食費払ってた分を相殺しても、金額的にはまだマイナスだけどね。

 

怒らない!不機嫌にならない!

学校に行きたくない理由を、「学校に行ったらお母さんがガッカリするから」と答えたサトイモ。

今日迎えに行って、先生から、

「今日こんなことがありまして…」

とトラブルや問題行動を報告されても、絶対にガッカリした顔を見せないようにしなければならない。

来週火曜日には、訪問支援の先生も来てくれる予定だから、なんとしても登校できる状態にしておきたい。

ここは私の覚悟のしどころ。

絶対に怒らない!不機嫌にならない!ガッカリしない!!!

サトイモが「サンドイッチ」という黒と赤の陣地取りゲームを考案。伏せたカードをめくって、そのカードよりすべてが大きい数字になるように手持ちカードと置き換えていく。めちゃくちゃ時間がかかるのが難点。



 

ゲームにまつわる国語力

サトイモのSwitch2熱は冷めやらず。

Switch2のタチが悪いのは、おすすめのゲームなどを紹介する画面があるところ。

サトイモは逐一それをチェックし、面白いゲームがないかあれこれ探っている。

その中で気に入ったのが、『トモダチコレクションわくわく生活』と『スーパーマリオメーカー2』との二つ。

どうしてもほしいとゴネるので、

「買うたるから自分でお金を出せ」

と言うと、

「これで買う!お金を払えばいいんでしょ!」

とお年玉を出してきた。

お年玉2万円のうち、1万円は銀行に入れたが、1万円はどうしても自分で管理すると言って私には渡さなかった分だ。

トモダチコレクションはAmazonで約6,000円、スーパーマリオメーカー2はメルカリの中古で約3,000円。

「自分のお年玉だし、使い方は自分で決めたらいいけど。」

と、渋々了承する。

これでまたゲームばっかりするんじゃないか、と面白くない気分。

一方、お年玉の1万円札が消えたことに少し安心。

その万札が入ったお札入れを、ときどき机の上にポンと無造作に置いていたり、「どこやったっけ?」としまった場所を忘れたりするので、いつか行方不明になるんじゃないかと私が心配していたからだ。(本人は心配していないが。)

使ってしまったほうが、きれいさっぱり心おきない。

どんどん増えるゲーム

 

トモダチコレクションわくわく生活

2026年4月に発売された新しいトモダチコレクション。

自分の島にキャラクターを何人か作成して住まわせ、神視点で管理するゲーム。

キャラクター同士が仲良くなったり、島が発展したりするのが楽しいらしい。

サトイモが遊んでいる様子を見ていると、人形遊びに近いな、という私の印象。

いかにもサトイモらしい、と思ったのは、キャラクターが「あいかし」「ななにな」「たてちつ」「まひむへ」「さちすけそ」という、不思議すぎる名前であることだ。どういうネーミングセンス?

ときどきテレビでこのゲームのCMをやっていて、サトイモはそれも大好きだ。

今田美緒とバイキング小峠が出演していて、

今田美緒のアバターが、

「この中で一番面白いといえば誰でしょうか?」

と尋ね、小峠のアバターが、

「オレ」

と答え、小峠本人が、

「しびれるねー!」

と絶賛するというもの。

このやりとりをサトイモは喜んでマネをする。

ふと、

「しびれるねー、の意味、サトイモわかってる?」

と尋ねると、

「電気でビリビリすることでしょ?」

と答えた。

「ちがーう!!かっこよくて感動することだよ!」

「そんなわけないでしょ。ビリビリだよ!」

「ほんならなんで小峠がビリビリしてんねん!」

「雷でも落ちたんちゃう?」

「死ぬわ!文脈おかしいやろ!」

最近、サトイモの国語力が本当に心配。

 

スーパーマリオメーカー2

『スーパーマリオメーカー2』はスーパーマリオのゲームを自分で作れて遊べるというもの。

ネット上にアップされた世界中のいろんな人が作ったマリオが遊べるし、自分が作ったものもアップして、見知らぬ皆さんに遊んでもらうこともできる。

サトイモは始めるやいなや、説明書も何も見ることなく、どんどんゲームを作っていく。

プログラミングの授業もサトイモは一切興味なしだけど、別に学校で教わらなくてもいいだろうな、と思う。

「お母さん見て~!!」

と作ったものをあれこれ見せてくれるけれど、普通の人が遊んで楽しいゲームではないことが多く、

「これのどこが面白いの?」

とつい言いそうになる(ガマンして言わないけど)。

残念なことに、初めてアップロードして公開したゲームについて、初めて寄せられた他人からのコメントが、

「ふざけんな」

の一言で、私もちょっと凹んでしまった。

どんな奴が書き込んだのか知らないが、面白くないと思ったとしても、わざわざ批判コメントを書き込む必要はないじゃないか。

8歳の子どもが初めて作ったゲームなんだから、大目に見てくれよ…。

サトイモは意外と、コメントについてはスルー。

矛盾した意見だけれど、コメントの意味を理解してなかったらうれしい。

 

正午が覚えられない

相変わらずマインクラフトでも遊んでいる。

今日たまたま、サトイモがマインクラフトをやっているのを見ていた。

時間の設定を変えたときに、

「さっき、時間を『正午』に変えたけど、正午って何時かわかる?」

と尋ねてみた。

「うーん、5時くらい?」

衝撃を受けた。

「午」は2年生で習う漢字で、「午前」「午後」と併せて「正午」は何回か練習した。

そのときに正午が昼の12時だということは図を描いて説明したのだ。

それなのに、サトイモは漢字テストで「正午」が書けなかった。

今年のお正月、干支が馬だということで、「午」と書かれているものを目にしたとき、再び干支と時刻について図を描いて、

「だから午の刻、正午なんだよ」

と懇切丁寧に説明をしたのを今でも覚えている。

にもかかわらず、またもやすっかり忘れて、

「正午?習ってないからわからな~い」

と言ったので、

「ゲームばっかりしとうから脳みそ縮んどんちゃうか!!」

とキレまくってしまった。

自分で一番よくない癖だとわかってはいるけれど、サトイモが間違えたり馬鹿な回答をするたびにめちゃくちゃ腹が立ってしまう。

サトイモに期待するのをやめよう、今度こそ学力はあきらめよう、と自分で自分を言い聞かせる日々。

 

メダカとエビだけが癒し

そんな私の癒しは、一昨年夫とサトイモが天王ダムから採ってきたメダカとヌマエビ。

夫もサトイモも飼育を放棄し、今はすっかり私のペットになっている。

今年も睡蓮鉢にメダカとエビはたくさんの卵を産んだ。

赤ちゃんが孵化すると、それを保護し、大きく育てるのが今の私の趣味。

メダカもエビも、ピンピン泳いだりクルクル回ったり、アホそうであればアホそうなほどかわいいものだ。

 

私の癒しの睡蓮鉢

赤ちゃんはまずモロゾフのプリンの容器に隔離。親に食べられるのを守る

赤ちゃんメダカも赤ちゃんエビもそれぞれ約30匹ほどに増え、別の水槽もぎゅうぎゅう状態

オンライン交流と訪問支援の準備

2026/6/12(金)

きのくに子どもの村学園で出会ったゲンキくんとラインのテレビ電話をした。

兵庫県と三重県という遠距離で、不登校児童同士のつながりができたら素敵だなぁ、と思ったものの、サトイモはゲームばかりしてまともに画面に向き合わなかった。

恥ずかしいのか、顔さえまともに出さない。

ゲンキくんはさぞかしガッカリしたことだろうと思う。

もともと、サトイモは電話が苦手。

最近は写真に撮られるのも嫌がる。

自意識過剰なんだろう。

 

2026/6/13(土)

父の3回忌法要で、実家に帰る。

親戚などに声はかけず、お坊さんに来てもらってお経を読んでもらうだけ。

実家に行く前、朝私がベランダで洗濯物を干していると、起きてきたサトイモが、

「お母さん!!のどがかわいた!!」

と大声で言うので、カチンときた。

私はサトイモの奴隷でもなければメイドでもない。

「自分で麦茶入れて飲み!」

「そんなこと言うなら、もう、おじいちゃんち行かないよ!」

「あらそ。じゃあお留守番してて。あんたが行かなくても誰も困らないから」

家の権力者は私だし、私はテロには屈しないのだ。

というわけで、サトイモは法事に参加しないことになり、数時間、神戸でひとり居残りすることになった。

夫はずっと心配していた。

「8歳児を一人で家にほっといて大丈夫か。昼ご飯も用意してないのに。虐待ちゃうか」

「大丈夫よ~。あれは生命力強いから。おなかがすいたら、なんでも食べよるわ。冷凍食品を勝手にチンして食べてたこともあるくらいやのに」

帰宅してみると、あまりお腹が空かなかったらしくて、ごはんは食べてなかった。

その代わり、夫が先週ボーナス払いで購入した新しい4Kテレビで、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』『ソニック・ザ・ムービー』『ソニック・ザ・ムービー/ソニック VS ナックルズ』の3本をぶっ続けで見ていたらしい。

「スーパーマリオの映画はこれから毎日見るよ。最低でも10回は見たい!」

サトイモは自慢げに言った。

ね、心配するだけアホらしい。

法事では、お布施を渡すとき私がボーっとして袱紗に入れたままお坊さんに渡すという大失態をしでかす。今思い出しても叫びたくなるくらい恥ずかしい。

実家の庭では、家庭菜園のズッキーニが立派に育っていて、夫は初めての収穫作業。

この黄色いのがズッキーニ。こんな成り方をするなんて初めて知った。
 
2026/6/14(日)

仲良しワカくんとリアルで会って遊ぶ。

公園で少しと、Wi-Fiがつながるカフェで一緒にランチを食べながらオンラインでSwitch2。

接続が不安定で、結局、家でやったほうがいいということに。

…公園でもっと遊べよ。

 

2026/6/15(月)

保育所等訪問支援サービスを受けることを決め、事業者が決まったので、担当の先生とサトイモの顔合わせをする。

サトイモには、「ごあいさつする程度だよ」と言って連れ出し、私自身もそのつもりだったけれど、45分間、サトイモと先生で遊びのような検査が行われた。

検査をする部屋に入った瞬間、サトイモが、

「床がふわふわする!」

と言った。

「壁もやわらかい!」

運動して暴れてぶつかっても大丈夫なように、床と壁がクッション材になっているのだった。

そんなところは初めて。

私は別室で、「感覚プロファイル短縮版」と「S-M社会生活能力検査」というアンケート書類のようなものを記入した。

そこの事業所を決めたのは、「場所が一番近い」という理由だったけれど、対応がしっかりしていて安心した。

サトイモには、

「あのお兄さんはサトイモの味方だからね。一緒に学校に行ってくれて、様子を見て、サトイモにも先生にもアドバイスをしてくれる人だよ。どうすればサトイモが学校で過ごしやすくなるか、教えてくれるからね。だから、一緒に行ってくれる日が決まったら、その日は学校に行ってね」

と言うと、

「ほんとに味方になってくれるの?」

と半信半疑ながら、

「じゃあ、お兄さんが来てくれる日は学校行くよ。来てくれる日だけね!!」

と返事をした。

 

2026/6/16(火)

おもちゃ箱から、けん玉、ヨーヨー、ビー玉、ハーモニカを出してきて遊ぶ。

ハーモニカでスーパーマリオの曲の冒頭を繰り返し練習していた。

「これから毎日けん玉とハーモニカの練習をする!」

またしても「毎日〇〇する」宣言。三日坊主なのに。

かと思うと、パソコンでパワーポイントとChatGPTを使い、絵本制作を始める。

新作絵本のタイトルは『パンダゴロゴロ』。

4ページほどできたのを見せてもらうと、めちゃくちゃ可愛かった。

絵はAIに描いてもらえばいいじゃん、といきなり絵本を作り出す発想がすごい。

そういえば、先週はBeepBoxというブラウザで使えるシステムを使って音楽制作に凝っていた。

直感操作で適当に作曲ができる。

ハーモニカで「かえるのうた」すらまともに吹けないサトイモが作曲をするとは。

隔世の感。

 

2026/6/17(水)

私の友だちのYちゃんがオンラインでサトイモと一緒に「あつまれどうぶつの森」で遊んでくれる。

サトイモはめちゃくちゃ喜んでいた。

持つべきものは友だち。

Yちゃんとは、幼稚園のときのオルガン教室から高校まで一緒だった友だちだ。

なんとまあ、ありがたいことだろう。

 

2026/6/18(木)

久々に勉強をする。

やる前は、「プリントを8枚やる」と豪語していたが、やったのは幼児教室の問題集2ページと漢字のなぞりがき1ページ、国語の教科書の音読3ページのみ。

とてもじゃないが、学習は追いつけない。

夜、寝かしつけのときにサトイモと揉める。

読み聞かせをしているとき、サトイモが鼻くそをほじっているなぁと思ったら、丸めたやつをピーンと飛ばしたので、私がキレた。

といっても、怒鳴ったりはしない。

「鼻くそを投げるような子とは一緒にいられません」

と静かに部屋を出て行った。

サトイモはあせって泣き喚いた。

「さっきまで仲良くしてたのに、なんで突然怒るんだよ!」

「鼻くそをほじるのはまだいい。でも、飛ばすのはあかんやろ。もう二度としないって謝ったら許したる」

「鼻くそなんか飛ばしてない!お母さんはうそばっかり!戻ってこいよ!!」

9時までにベッドに入ると「早寝ポイント10pt」がもらえるが、ちょっとでも出るともらえなくなるので、ベッドの中から泣き叫ぶ。

私は隣の部屋から、冷たく言い放つ。

「二度と鼻くそは飛ばしませんって約束するまで戻らん」

「なんでボクが謝らなあかんのん!!」

「鼻くそ飛ばしたからや」

「飛ばしてない!」

「飛ばしましたぁ!!目の前で見てたんやからな!!言い逃れすな!!」

結局平行線で、見かねた夫がサトイモのそばに行って寝かしつけてくれた。

素直に自分の非を認めないところが、どうも気に入らない。

将来、サトイモが高市早苗や斎藤元彦のような嘘つきやヒトデナシになりはしないか、心配でならない。

きのくに子どもの村学園見学

和歌山県に「きのくに子どもの村学園」という学校がある。自由教育を行っている、先進的な学校だ。

自由学校といっても、フリースクールではなく、文科省から認可された学校で、小・中学校に加えて高等専修学校まである。

押しつけではない、子どもの自主性を重んじる教育、という方針に、

「ここならサトイモも行けるんじゃないか」

と、その存在を知って以降、夫が強く推している。

夫はときどき、きのくにのホームページをチェックしているらしく、最近、サマースクールの参加者募集と、途中入学の児童の募集が出ているのを見つけてきた。

サマースクールに参加するのは大賛成だけど、入学となると覚悟がいる。

しかも、6月18日が応募締め切りで、9月1日には転入と言われると、急すぎて戸惑ってしまう。

それに、いくら教育方針がすばらしいと言っても、実際に自分の目で見もせずに検討はできない。

というわけで、先週の木曜日、サトイモと二人で「きのくに子どもの村学園」へ見学に行ってきた。

 

よく考えてますか?

サトイモが1年生で不登校になったとき、きのくにについて、「こんな学校があるよ」と提案したことがある。しかし、

「今の学校はええ学校や。転校なんかせえへん」

と言って、全く聞く耳をもってくれなかった。

ええ学校やと言うなら、なんで学校行かへんねん!!

ところが、最近、こんな学校があるよ、と教えると、

「行く行く」

と二つ返事。

この2年でどういう心境の変化があったのかは不明。

YouTubeで紹介動画を見て、

「ここで木を切ったり家を作ったりしたい」

とヤル気満々。

「行ってもいい」どころか、

「早くここに行かせて!いつ行けるの?!」

と言いだした。

行きたいと言ってくれるのはうれしいし、それで入学して楽しく学校生活が送れるなら願ったりかなったりだが、二つ返事で安直すぎるのが私は気に入らない。

「あのね、習い事を始めるのとはわけが違うんだよ。転校するってことは、今の小学校をやめて、卒業まではこの学校に通う覚悟で行くんだよ。わかってる?」

「この学校はいつまでいれるの?」

「中学校卒業まで」

「えー!?」

「長い?小学校卒業まででもいいけど」

「違う、短いんだよ。もっといたいくらいだよ~」

「行くなら、寮で子どもたちだけで暮らすんだよ。お父さんお母さんと離れて暮らすことになるよ?」

「楽しそう~」

「よく考えて言ってる??」

どう考えても、その場その場の安易な思い付きで答えているようにしか思えなかった。

 

いざ和歌山県橋本市へ

何にしても、まずは自分の目で見るところから。

きのくに子どもの村学園は毎週木曜日に見学を受け入れている。

阪神電車で大阪難波まで出て、南海電車で橋本駅まで。

うちからはざっくり、難波まで1時間、難波から橋本まで1時間といったところ。

難波到着時間が通勤ラッシュ時だったために、押し寄せる人の群れがすさまじかった。

「前の人を盾にして進もう」

サトイモの手をつないで、はぐれないように、逆流に飲まれないようにするのが大変で、それだけで疲れてしまった。

毎日この戦いをしている大都会の皆さん、お疲れ様。

神戸は三宮でもまだ全然マシ。良くも悪くも「兵庫の衰退」を痛感した。

南海電車で南へ南へと走る。

途中、通天閣が見えてちょっとテンションが上がり、景色がどんどん山がちになってくるのにわくわくする。

トンネルを超えると和歌山県。

橋本駅からはタクシー。

8キロほど、というので20分くらいで着くかなぁと思っていたが、30分くらいかかる。

カーブの多い山道。六甲山みたいだと思う。

運転手さんが、次回来るときのための道の注意点だとか、きのくに子どもの村の子どもについて、いろいろ教えてくれた。

とってもいい気分で支払いを済ませ、タクシー代が3,450円もかかってギョッとする。

でも、8キロもあるなら安いほうか…。

最寄り駅から遠いなぁ…。

橋本駅から撮った一枚。北も南も山という山間の町。

 

説明が聞けません

見学申し込み後、届いた案内ハガキを見て心配になったのが、1時間ほど概要説明があることだった。

「子どもが一緒に行くんですけど、この1時間は子どもも一緒に説明を聞くんでしょうか?」

不安になって電話で確認をしたくらいだ。

学園に到着し、説明会まで少し時間がある間、校内を見学すると、サトイモは、

「ぼく、ここにずっと住みたいよ」

と言うほど気に入った様子だった。

ところが、説明会が始まると、サトイモは退屈してモジモジし、

「お母さん、もう帰ろう」

と言い出した。

「お母さんは説明聞いてるでしょ。帰らないよ」

小声でやりとりするが、だんだんイライラしてくる。

たまたま目の前にあったパンフレットの箱をサトイモがいじって壊しそうだったので、手をつかむ。

落ち着きのなさがどんどんエスカレート、私はイライラが爆発しそうになって、部屋の外へ退出させてもらった。

廊下で、もう帰るだのなんだの言ってゴネるサトイモを引きずって放り出す。

きのくにの先生(ここでは"大人"と言われている)が声をかけて連れ出してくださって、私は説明会に戻った。

ここでもサトイモはアカンかもしれん…。

あー、もう情けない…。

ちょっと泣きそうになる。

説明会の最後の方になって、サトイモが戻ってきた。

質疑応答のような時間で、説明をしてくださった先生が、サトイモに、

「ききたいことある?」

と尋ねてくださって、サトイモはすぐに、

「おふろは自分で洗うの?」

と質問した。

「おふろ?」

びっくりする先生。

私はとっさに、

「お風呂掃除は自分でしなくてもいいと思うよ。みんなで入るお風呂なんだもん」

とフォローを入れた。

「寮では、大きなお風呂にみんなが入るの」

「大きなお風呂?温泉?」

「温泉じゃあないなぁ」

「Switch2は使える?」

「ゲームはできないのよ」

「スマホは?」

「スマホも、昔は使っていいことになっていたんだけど、夜中じゅうLINEしたりして収拾がつかなくなったことがあって、今は禁止してます。でも、ゲームやスマホがなくても、楽しいことがいっぱいあるから。ゲームする時間なんかないくらい忙しいから」

その説明を聞いていた親たちはみんな喜んで頷き倒していたけれど、サトイモだけは少しがっかりしていた。

 

同類のお友達

説明会後、きのくにの子どもたちが経営しているレストランへ。

ちゃんと営業許可をとっているお店で、子どもたちがプロジェクトとして調理も管理もやっている。

ランチはカレーセット850円。

説明会に参加していた男の子とお母さんがいたので、声をかけて4人でテーブルについた。

サトイモと同じ3年生で、三重県から来ているゲンキくん。

やはり学校に行っていないらしかった。

「2年から行ってない」

とゲンキくんが言うと、

「ボクなんか、1年から行ってないよ!」

とサトイモ。なんの自慢やねん!

ゲンキくんは電車と虫が好きで、おしゃべりがとまらない。

一方、サトイモはおっとりしたしゃべり方で、話題はゲームのことばかり。

二人の会話はちぐはぐだったけれど、食後、連れ立って遊びに出ていった。

私はゲンキくんのお母さんと、レストランでゆっくりおしゃべり。

その間、きのくにの子どもスタッフの男の子が何度も何度も、空いている食器を下げに来た。

そのあたりの融通の利かなさというか、律義さが子どもらしい。

バックヤードの小学生男女の違いが面白かった。

「あたしが交代したげるから、先にお昼ごはん食べてきたら」

「いや、洗い物が終わるまでが僕の仕事だから」

男子はほんとに不器用。

「じゃ、お先に休憩いってきまーす」

元気に声をかけて出ていく女子。

まるで普通の店の普通のバイトみたい。

退店時にお代金を支払うときには、レジがなくて、ノートに「人数/代金/もらったお金/おつり」の表を書き込んでいく方式。

小2くらいの女子が、電卓を使わずに一生懸命暗算していた。

「ここの売上金はどうしてるんですか?」

と私が尋ねると、

「え…」

女の子は少し口ごもってしまった。

するとすかさず、年上の女子がやってきて、

「お金は貯めておいて、何かあるときに使います。こないだは炊飯器が壊れたので、そこから新しいのを買いました」

と答えてくれた。しっかりしてる!!

こういうことでから、きのくには教科書ではない学びを実践しているのだ。

 

次はサマースクールで

帰り、私がタクシーを呼ぼうとすると、ゲンキくんたちは車で来たというので、この日初対面の私たちを、わざわざ橋本駅まで送ってくれた。

しかも、電車好きのゲンキくんはホームから電車を見るのが好きだということで、一緒にホームに入場して見送ってくれた。

またね、ぜひいつか神戸にも遊びに来てね、と約束をして。

サトイモはサマースクールの申し込みをしているし、入学を検討しているけれど、ゲンキくんはそこまでは未定らしい。

いつかまた、きのくにで会えるだろうか。

確かに、小学生から寮生活というのは、親子ともども勇気がいる。

私は離れて暮らすことにはためらいはない。

けれど、寮や学校で問題を起こして他人様に迷惑をかけないだろうか、とそれが心配でしょうがない。

中学3年生のきのくに在校生に、

「うちの子、落ち着きなくて脱走ばかりするんだけど、大丈夫かな?」

と尋ねると、

「大丈夫ですよ、そんな子よくいますよ。特に小さい子は最初そんなんです」

と答えてくれた。

もう小さい子でもないんだけど…。

最後の望みの綱であるきのくに子どもの村学園。

サトイモに合う学校だったら最高なのにな。