去年の12月のサトイモには、脅しが有効だった。
「そんなことしていいのかな? サンタさんは良い子にしか来ないんだよ」
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サンタ悲喜こもごも - 3歩前のことを忘れる女のサブカルと介護の記録
ところが、今年はそれが効かなかった。
脅しても、顔色を変えない。
サンタさんを信じていないわけじゃないし、オモチャがいらないわけでもない。
でも、それほど強く欲していないのか、来ても来なくてもいいよ、という雰囲気なのである。
「ママ心配やわ。サンタさん来ぉへんかったらどないすんのん?プレゼントもらわれへんで」
と私が深刻に言うと、
「もらえなかったらしかたないよ。プレゼントはじぶんでつくるよ」
「つくる???」
「おりがみでね」
最近のサトイモは折り紙ブームなので、何でも折り紙で工作したがるのだけど、プレゼントを作るなんて発想が出てくることに驚く。
口が立つようになったというか、諦めが早いというか。
女の子に関しても、一人がダメならすぐ別のコに行くところがある。
粘り強く改善しようという気がないのだ。
最近ようやく、自分が怒られているという自覚が出てきたが、怒られたときは反省せず、
「ママ、もう怒るのはやめてね」
と私に反省をうながしてくる。
「どうしたらママに怒られないようになると思う?」
と静かに尋ねたら、
「ママがしんだらおこられないよね」
と答えたときには閉口した。
全くそのとおり!
「ママが死んで、いなくなってもいいの?」
と聞けば、
「それはイヤだなぁ」
と答える。
「じゃあずっと怒られちゃうね」
「しかたないね。がまんする」
怒られないように改善しようよ!!
また、タカラトミーのテレビCMを見て、
「これほしい!買って!」
と言うとき、私はたいてい「買わないよ」と答えるのだが、
「どうして買ってくれないの?」
と普通に質問してきたことがあった。
「家にはオモチャがあふれてるし、お片付けをしないでしょう?」
「でも、ばぁばは買ってくれるよ」
「それはばぁばが、サトイモがお片付けしないことを知らないからよ」
「じゃあ、ばぁばにはないしょにしてね」
おいおい。
じゃあお片付けしよう、という発想になぜつながらないのか。
どこまでいってもサトイモはマイウェイを進む。
サンタのレギュレーション
今年の秋、子供用ベッドを買った。
ベビーベッドを卒業してから私達のベッドで一緒に寝ていたのが、サトイモが大きくなるにつれてだんだん窮屈になったからだ。
ベッドが窮屈だと、睡眠時も身体がリラックスできないため、腰痛や寝違えが起こりやすい。
子供用ベッドをサトイモが気に入り、
「ボクここでねる!」
と言ってくれたときはホッとしたけれど、
「ママもいっしょじゃないとねれないよ〜」
と小さいベッドで添い寝させられる日々が続いている。
寝かしつけには、まず絵本を読んで、電気を消したあと童謡を歌う。
ところが最近は、さらにその後、サトイモのお話タイムが始まる。
「ボクのユメのおうちにこない?」
サトイモの空想に付き合わさせられるのだ。
ある種のごっこ遊びである。
話を合わせるのはなかなか大変だけれど、私自身妄想癖がある子供だったので、サトイモも同じ傾向があるのがちょっと嬉しい。
クリスマス前は、サンタさんはどうやってやってくるのか、という想像を二人でめぐらせた。
我が家のサンタさんのレギュレーションはこうだ。
- サンタさんはサンタクロース村に住んでいる。複数人いる。
- 良い子に欲しいオモチャをプレゼントしてくれるが、ちょっとしか良い子でなかった場合は欲しいオモチャと異なる場合もある。
- その子が何が欲しいか、子どもの夢の中に入ることができる魔法を使って知ることができる。
- 寝ている子にしかプレゼントはあげない。(起きていたらもらえない。)
- どこでもドアのような魔法、もしくはテレポーテーションのような超能力で、煙突のない現代住宅にも入ることができる。
- クリスマス前の昼間には幼稚園や児童館を訪問する。
サンタさんの良い子査定
クリスマスイブ。
昼間、ハーバーランドに遊びに行ったが、ショッピングモールの廊下を走り回ったり手摺によじのぼったり、こべっこランドの小さい子供がいるボールプールに飛び込んでボールを蹴散らしたりと、悪さ全開。
注意しても全く言うことを聞かなかった。
夜もなかなかベッドに入らず、
「ほんまにサンタさん来ぅへんぞ!もうプレゼントなしや!」
と夫までイライラ。
もしかして、本当にプレゼントをもらえないのでは?!?!
私は本気で心配した。
けれど、寝かしつけ後、私が子供用ベッドを出るのと同時に、ちゃんとプレゼントがやってきた。
しかも2つ。
朝、プレゼントを発見したサトイモが興奮したのは言うまでもない。
トミカ派のサトイモが、今回はなぜかサンタさんには「プラレール」をプレゼントしてほしいと言い出したのには戸惑った。
電車にはほとんど興味がないくせに、なぜプラレール??
話をきいてみると、車両には興味はないようだけど、線路をつなげて走らせるのは好きなようで、幼稚園や発達支援教室ではよくプラレールで遊んでいるらしい。
そこでサンタさんがチョイスしたのは、プラレールとトミカの両方で遊べる踏切のオモチャだが、それにはプラレールの車両は別売り。
線路だけあっても電車がなければ意味がない。
そこでプレゼントが2つになってしまったのだ。
良い子じゃなかったのに、こんな豪華なプレゼントがもらえるなんて、なんという矛盾。
本人も引け目を感じたのか、
「サンタさん、まちがえてないかなぁ…。よいこじゃなくてもプレゼントもらえるなんて、そんなことある〜??」
と自分で言う始末。
私は、
「良い子か悪い子かっていうのはその時どきで違うから、良い子ポイントと悪い子ポイントを積み上げていったら、今年は良い子ポイントのほうが若干上回ったんやろね。サンタさんの査定ではそうやったんやろ」
と説明した。
「運動会とおゆうぎ会を頑張ったのがポイント高かったんちゃうかなぁ?」
サトイモはそれで納得したようだった。
査定って何?と聞かれなくて助かった。
「サンタさんってすごいね!ボクこれ大好き!ほしかったんだ!すごくきにいったよ!」
プレゼントを折り紙でつくることにならなくてよかった、よかった。