奇才サトイモの元気が出る発達日記

発達障害(ADHD&ASD)の疑いがある息子サトイモの子育て日記です。

よいお年を。

サトイモは最近も、相変わらずワガママ爆発。

去年効果があった「サンタさんが来ないよ」攻撃も通用しなくなった。

とはいえ、サンタさんを信じていないわけでもなく、サンタさんからのクリスマスプレゼントを開けたくて、25日の朝は6時起き。

特別欲しいおもちゃがなくて、サンタさんには手紙も出さず。

それなのに、カードゲームのUNOが機械から飛び出すおもちゃ「UNOアタック」をもらって大喜び。

「夢が叶った〜!!これボクが欲しかったやつだよ!!」

嘘ばっかり! 調子がいいこと限りなし。

 

喜びも束の間、電池が別売で、単2電池が家にないことが判明。

がっかりして二度寝

こうなると、起こしてもなかなか起きない。

どうにかこうにか起こしたけれども、

「おうちでUNOで遊ぶ!」

「冬休みなのにどうして幼稚園行かなきゃいけないの!」

「幼稚園はもう行かないよ!」

とゴネゴネ攻撃。

サトイモの幼稚園はこども園で、幼稚園と保育園の融合。25日からは幼稚園の子はもう休み。保育園の子だけが年末まで登園しなければならない。

それがわかっているだけに、

「なんでボクは休みじゃないの!」

サトイモはゴネるわけだ。

どんなに説得しても受け入れてくれず、最終的には、泣き叫ぶサトイモを私が玄関から幼稚園まで抱っこして連れて行った。

17キロの5歳児を抱っこで連れて行くのはさすがにキツい。

やれやれ、しばらく腕が筋肉痛。

無理やり連れて行くのは、さすがに今年でもう限界だ…。

 

七人の友達

2023年の私の目標は、お友達に会うことだった。

結果、1年間で会えたのは、ざっと七人。

サムライか小人かという数。

少ないと見るか、頑張ったと見るか。

 

友達に会う会わないにかかわらず、夫にサトイモを任せて、一人で出かけられるチャンスも少しずつ増えてきた。

 

3月には、友達と映画『センキョナンデス』を観に行けた。

しまじろう、パウ・パトロール以外で久々の映画館。

毎週楽しみにしているYouTube番組「ヒルカラナンデス」のプチ鹿島&ダースレイダーご両人の舞台挨拶を観て、サイン会に参加することができたのがとても嬉しかった。

 

12月には一心寺シアター倶楽で『サラサーテの盤』を観た。

これも子供向け以外では約5年ぶりの小劇場演劇。

少しずつ、かつての自分を取り戻している感じ。

 

人生も十分折り返し。

何が大事かと考えると、お金でも仕事でもなく、一番は「時間」。

2024年には、もっと自由な時間を手に入れたい。

 

皆様よいお年を。

2024年が明るい希望に満ちた年になりますように。

刺さなければ泡になります

12月は、サトイモの幼稚園のおゆうぎ会があった。

今年のサトイモのクラスの演目は『人魚姫』。

今年はディズニー映画の実写版があったから、この演目が選ばれたのだろう。

年長さんともなると、長めのセリフがあったり、ソロパートがあったりと、これまでより求められることのレベルがグッと高くなる。

 

演目が決まったあと、当然、配役が話し合われる。

その日のお迎えのとき、先生に呼び止められた。

サトイモは、

「ボクは何もやりたくない」

とキャストを拒否したらしい。

「幼稚園最後のおゆうぎ会なんだから、何か頑張ろうよ」

と先生にうながされると、

「じゃあワカメをやる」

「そんな役はありません」

「じぁあアサリをやる」

「それもありません」

「じゃあ海の波をやる」

「あ、そうだ、それだったら、キーボードはどう? 先生のピアノの横で、波や雷の音を出したり、音楽を流したりするの」

「それやりたい! ボクそれやる!」

というわけで、サトイモは音響さん、キーボードで効果音を鳴らす裏方スタッフとして参加することになった。

 

みんな出役となるおゆうぎ会で、一人だけ裏方になるということで、先生は気を使って私にその報告をしてくれたのだった。

「出たくないという子を無理やり出させるものでもありませんから」

加えて、サトイモの気まぐれについても、私を加えて約束させた。

「キーボードは特別なお仕事だから、やったりやらなかったりは困ります。やるとなったら練習には全部参加すること。本当にできる?」

「うん、できる」

「お母さんの前で約束できる?」

「できる」

 

そこまでして、サトイモは音響さんをやることになったのに、本番一週間前に先生から、

サトイモくんが練習に参加できなくて、ずっと園内を走り回っています」

という報告があった。

「ボクはぜんぶもう覚えてるし、できるから練習しなくてもいいんだ」

というのが本人の言い訳。

でも、最初の約束はそうじゃなかったよね、と先生方が説得しても、

「ボクはやりたくないことはしない。やりたいことしかしないからね!」

と言い、挙げ句の果てには、

「おゆうぎ会なんて、みんなやめてしまったらいいんだ!」

とゴネたという。

 

みんなの輪に入れない

先生方と話していて浮かび上がってきたのは、劇を作るためにクラスのみんなが団結しようとすればするほど、疎外感を感じるサトイモの姿だった。

自分の出番じゃなくなるとすぐにウロウロするサトイモを、しっかり者の女子たちが注意する。

それが面白くなくてサトイモは出ていく。

自分がいなくてもクラスは回るし、劇を作っている中心メンバーばかりが、より仲良く盛り上がっていく。

サトイモは輪に入れなくて、また練習に参加しなくなる。

効果音が必要な部分までサボる。

また注意され、アテにされなくなり、必要とされなくなるから、余計に居場所がなくなる…。

そして、かまってほしくて、物を振り回してみたり、お友達の小道具を取ったり、悪さをしてふざけるけど、おゆうぎ会で一生懸命のみんなには注目もされないし、ただ嫌われるばかり。

 

…完全な悪循環だ。

 

団結、協調、みんなで力を合わせて…。

ああ、私もすごく嫌いだったなぁ…、と思い出す。

嫌だったけど、私はそれでも参加してたし、参加すればそれなりに得るものもあった気がする。

 

お手紙作戦

何回かお話をしてみたけれど、聞いているのかいないのか、まともに返事をしてくれない。

怒られるのだと思って、はなから耳を貸さないようだ。

仕方ないので、私はサトイモに手紙を書いた。

本番前日の最後の練習だけは、なんとか参加させたい。

 

私がサトイモに伝えたいことは2つあった。

一つは、約束を守る子になってほしい、ということ。

最初からやりたくないことなら、やらなくてもいい。

けれど、最初に「やる」と言ったものを途中で投げ出してはいけない。

やると約束したのだから、最後までやりきってほしい。

 

もう一つは、本番に緊張しない秘訣は、練習量だということ。

サトイモはとにかく「緊張しぃ」で、本番はカチカチになる。

「これまで練習を頑張ってきたのだから、練習どおりやれば大丈夫」

という理屈が、普段サボってばかりのサトイモには通じない。

せめて最後の練習だけでも、うまくいった記憶があれば、本番もうまくやれるはず。

 

そのようなことを、ひらがなで手紙に書いて渡した。

読んでくれたかどうかは知らない。

 

形にはなったものの。

さて、本番。

サトイモはキーボードをやりきった。

一応形になっていた。

終了後、担任の先生からは、

「あんな真剣なサトイモくんの姿は初めて見ました。お父さんお母さんが見に来られてたら、あんなに違うんですね!」

と驚きの感想をいただいた。

 

また、意外なことに、セリフも一言だけあった。

他の娘と結婚する王子様を魔法の貝殻で刺し殺すように、人魚姫を促す魚のセリフ。

「このかいがらで、ささなければ、あわになります!」

去年の『アリとキリギリス』でテントウムシ役をやったときは、小さくて震える声だったけれど、今年はしっかりと大きな声でハキハキ言えていた。

出役でなくてもいいと思っていたけれど、親としてはやっぱり、セリフがあってよかったなぁ、と嬉しかった。

 

本番、体調を崩したりして休んだ子が何人かいたそうだ。

その穴を埋めた子たちがいた。

ある女の子は、もともとは海の王様だけだったのに、代役として立派に魔女役も演じきった。

どちらもけっこう長いセリフがあった。

その子を筆頭に、歌の上手な子、背景の絵を描いた子、ダンスの上手い子など、能力の高い子が多いなぁ、と感心する。

私立幼稚園だからだろうか。それとも今どきの子はみんなそうなのかな…。

サトイモが自信をなくしてしまうのもわかる気がした。

 

サトイモの機嫌がいいとき、副園長先生がサトイモになぜクラスから脱走してしまうのか、ゆっくり話を聞いたことがあったらしい。

サトイモの口から、

「なんか、みんなについていけない」

という言葉がもれたそうだ。

3月生まれで、マイペースで、 何をやってもクラスのみんなより少し遅れてしまう。

けれど、プライドが高くて、素直に遅れを受け入れられないから、クラスから逃げてしまうのだろう。

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幼稚園でこの調子では、小学校だとどうなってしまうんだろう?

私のYouTube不登校関連の番組がどんどん増える。

初めての救急車

先週の日曜日、実家に帰ったついでに、室津港で生牡蠣を買って帰った。

夫にとっては、生牡蠣を買うのが唯一播州へ赴く楽しみで、冬の定番になっている。

夕飯の席で、殻を剥いて生牡蠣を食べ、ほかは牡蠣のお好み焼きにして食べた。

サトイモも、

「こりゃうまい!」

とどこで覚えてきたのか変な快哉をあげて、パクパク食べていた。

私はその前からの風邪気味で、食は進まなかったけれど、頑張って完食した。

 

その夜中。

サトイモのベッドで添い寝していた私は、胃部の不快感で目が覚めた。

吐き気がして、トイレで吐く。

お好み焼きらしきものを吐いた。

ひととおり出して、少しスッキリしたかと思ったけれど、まだまだ調子が悪い。

何度も吐く。

トイレ前でしゃがみこんで、休んでは吐き、吐いては休みを繰り返す。

もう吐くものがないのに吐き気だけがあり、身体の奥底から絞り出すようにして吐く。

胃袋をひっくり返すような苦しさ。

全身から血の気が引いて、気分が悪くてたまらなくなり、呼吸が苦しくなった。

 

その時点で一人ではどうしようもなくなって、リビングのソファで眠り込んでいた夫に助けを求める。

苦しくて立っていられない。

倒れ込んでもがき苦しむ。

脱水か低血糖かもしれない、と夫に砂糖水を作って飲ませてもらう。

しばらくすると落ち着くけれど、やはり吐く。

そして気分が悪くて息苦しくなる繰り返し。

低血糖ならチョコレートがよいかも、と口にするけれど当然吐く。

吐き気止めの頓服薬があったのを飲んでみたけれど、それも吐く。

途中、少し下痢をするけれど、それよりも気分が悪くて苦しくて、息ができなくなる。

全身に冷や汗が出て、冷たくなった手先がしびれ、全身がガタガタと震える。

 

しばらくそんな状態が続いて、あんまり苦しくてつらいので、どうしたらよいかわからなくなり、救急車を呼んでもらった。

苦しさから少しでも早く助けてもらいたかった。

 

救急車は5分ほどですぐに来てくれた。

夫に支えてもらいながら、歩いて乗り込んだ。

 

もう大丈夫ですよ、と救急隊員は声をかけてくれたけれど、すぐに改善するわけでもなく。

苦しくてハァハァ息をしている私に、救急隊員は、

「ゆっくり大きく息をしてください。酸素量は十分ありますからね。過呼吸で苦しくなっているだけですよ」

と声をかけた。

死ぬほど苦しい助けて、と私本人は思っていたけれど、救急隊員の態度からは「たいしたことねーなこれは」感がありありと伝わった。

 

サトイモを置いて行くわけにはいかないので、夫は家に残り、救急車には一人で乗って行った。

病院についてからもしばらく、のたうち苦しんで、トイレで吐いたりお腹を下したりしたけれど、看護師の対応はのんびりしたもので、トイレ前で這いつくばっている私に、

「あらあら、ベッドまで戻れます〜?」

と声をかけるだけだった。

 

その後、医師の診察を受けた。

女の子と言ってもいいくらいの、非常に若い女性の医師だった。

といっても、問診と血圧測定くらいで、聴診器を当てたり血液検査をしたりということはなかった。

その後、点滴。

点滴を受けている間にトイレに行きたくなったら困るので、オムツを履かされた。

不思議と全く抵抗なし。

点滴の内容は吐き気止めと水分。

針が入ってものの数秒で意識を失うように、座ったまま眠っていた。

 

どれくらい眠っていたのか全くわからない。

とにかく点滴が終わるくらいの間だ。

点滴の効果はテキメンで、すっかり気分が良くなっていた。

さきほどの医師が、入院しますか、家に帰りますか、と聞いてきた。

自分の状態がよくわからないから判断できずに黙っていると、

「家に帰って寝たほうがゆっくり休めると思いますよ」

と、帰ることにさせられた。

 

薬を渡され、保険証を提示させられたのに精算は後日だと言われ、預り金として一万円を徴収させられ、迎えに来てもらえない場合はタクシーで、とタクシーの呼び方を案内された。

着の身着のまま出てきたので、眼鏡もコンタクトもなく、案内板が読めない中、呆然と立ちすくむ。

とにかくスマホと財布だけは持って来ていて助かった。

 

案内された病院備え付けの無料専用ダイヤルのタクシー会社は、

「今そのへん走ってないですねぇ」

で切られてしまった。

仕方ないので、配車アプリで手配すると3分で来てくれることになった。

初めて来た大きな病院で、入口がどこなのか、今いる場所がどこなのかわからないうえ、車の乗降口もわからない。

心配して来てくれた看護師に教えてもらって、なんとかタクシーに乗って家に帰った。

 

救急車を呼ぶ基準

回復してから夫とこの夜のことを振り返って、救急車を呼んだことに対する反省をする。

本人的には死ぬほど苦しかったのだけど、じゃあどうしたらよかったのか、はっきり答えは出ない。

 

子どもの場合は、「#8000」という医療相談ダイヤルがあることを知っていた。

私も一度、サトイモが夜中にじんましんを出したときにかけたことがある。

こども医療相談ダイヤル

 

大人にもそういう相談ダイヤルはないのかな、と今調べてみたら、やはりあった。

救急安心センターこうべ 救急相談ダイヤル「#7119」

救急車を呼ぶ前に、こういうところに聞いてみたらよかった。

ちょっとググればわかることなのに。すごく後悔する。

 

もしくは、アプリから呼べるコールドクターというのが今はあるらしい。

みてねコールドクター

小児科だけだと思いこんでいたけど、大人もいけるようだ。

 

安易に救急車のお世話になったことに落ち込んでいる私に、共犯者の夫は、

「でも、点滴してもらえたから助かったんやろ。結果、それでよかったやんか」

と意外と前向き。

 

正直、夫がいてくれてどれだけ助かったかしれない。

一人で苦しまずに済んだことだけでなく、救急車を呼んだとしてもサトイモを残して行くわけにはいかない。

どちらにしても途方に暮れただろう。

 

食器の選び方とか洗濯の仕分けとか、本や映画やエンタメに関するちょっとした考え方の違いで、夫婦は衝突したりすれ違いがちだ。

私はすぐに、

「年取ったら絶対離婚するぞ」

と考えがちなのだけれど、病気をするたびに夫には感謝の念が増す。

サトイモができなかったら結婚しなかった二人だけど、そうやって家族になっていくのだろう。

 

起きてから事態を知ったサトイモは、

「ボクも救急車に乗りたかった!今日も救急車呼んで!」

とゴネた。

アホか。


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↑上記はサトイモが2歳のときに近所の消防署で救急車を見学させてもらったときの写真。

いざ乗ってみると、中の設備なんか何も覚えていない。

スタートアップ起業家のタマゴ

サトイモがおカネの価値を知り、カネの亡者になってから数か月経った。

この間、お金を幼稚園に持参してお友達とトラブルを起こしたり、送迎を依頼しているファミサポさんにコンビニに寄ると無理を言ったり、近所のお店に一人で買い物に出かけたり、親のお財布を勝手に持ち出したり(親がいくら持っているか確認したい)、とたくさん問題を起こした。

 

プリント1枚1円制度は続けている。

勉強におけるインセンティブは良くないと知っているけれど、無条件にお小遣いをあげるより、何らかの努力の対価として金銭をもらうほうがマシな気がするからだ。

入ったお金は入っただけ使う。

コンビニで12円のうまい棒を買うために、サトイモは必死でプリントをこなしている。

いつもお金がほしくてたまらない。

 

「早く大人になって、お店をやって、お金を稼ぎたい。」

と、5歳の子どもが言う。(親から無条件にお小遣いがもらえるとは思ってないのが救い。)

挙げ句、突然レモネード屋をやると言い出した。

「大人になったらミーちゃんと結婚して、レモネード屋さんをやる。高級レモネードを作って、百万個、千万個売って、それでお金をいっぱいもらう!」

レモネードなんか飲んだことないだろう、と思うけれども、私のビタミンCタブレットを勝手に出してきて、それを水で溶かして、オリゴ糖とレモン汁を混ぜ、高級レモネードだと言い出した。

確かにレモネードっぽくはある。

 

子どもの遊びだと甘く見ていたら、突然、

「テープどこ?あ、あった!じゃ、行ってくる!」

と養生テープを引っ掴んで家を飛び出そうとするので、

「何をしようとしてるのか言って!!」

と問い詰めると、

「ここでレモネード屋さんをやってるのをみんな知らないから、道路にテープで矢印をつけて、ここまでやってこれるようにする」

と言う。

待て待て待て!!

そんなことをされたらたまらない。

ここは、サトイモが本気だと言うことを真剣に受け止め、「飲食店をやるなら、営業許可を取らないといけないんだよ」と真面目に説得したら、やめてくれた。

 

なぜレモネードなのか。

原因がはっきりしないけれど、おさるのジョージか何かEテレのアニメに出てきたんだと思う。

アメリカの子どもは夏休み、ビジネスを学ぶ教育目的でレモネードスタンドを経営するらしい。

 

…でも、ここは日本だしなぁ。

 

フリマの思い出

町内会のイベントで、フリーマーケットを開催することになった。

コロナ後久々の再開だそうだ。

出店者を募集していたので、申し込んでみた。

 

というのも、もう遊ばなくなったサトイモのオモチャや赤ちゃん絵本が山ほどあって、整理しようと思っていた矢先だったからだ。

若いママならメルカリで上手に売るんだろうけど、それをマメにやる習慣も時間もない。

儲けるよりも、捨てるのがもったいない、というだけの動機なので、一律100円で投げ売り。

始める前は、100円でも売れゆきが悪かったら3つで100円のディスカウントにしよう、と思っていたけれど、そんなことをしなくても開始1時間でほとんど売り切れてしまった。

もっと価格を検討すればよかった。

 

カネの亡者サトイモは、フリマ出店を震えるほど楽しみにしていた。

リアルお店屋さんごっこ

興奮しないわけがない。

 

張り切って張り切って、数日前から、

「荷物を運ぶのはボクにまかせて!」

となぜ知っているのか夫がクローゼットにしまっていた台車を勝手に出してきて、商品を紙袋に詰めて並べ始めた。

台車が邪魔になってしょうがない。

当日の朝か前日の夜でいいから、やめてくれ!ととにかく気分を鎮めるのが大変だった。

 

当日も、その台車を押して会場の公園まで行くとゴネて困らせた。

お願いだから車で搬入させてくれ!


お店屋さんとしては、一応サトイモはポップを書く手伝いをしたり、商品の陳列も手伝ったし、売り子もした。

「これほしい?じゃあ、100円だして!」

こらこら!お客様になんちゅう言葉遣いだ!

とはいえ、知らない人にも物怖じせず店員ができるのはサトイモの才能だと思う。

 

フリマ開催中のトラブルは、サトイモが売上金を勝手に持ち出してしまうことだった。

子どもがお金を許可なく触るのはいけないことだし、売上金の辻褄が合わなくなってしまう。

持ち出したお金は、ほかの露店でフランクフルトやたこせんを買うのに使った。

気持ちはわかるけれど、それは親に頼んで出してもらうべきもので、売上金を勝手にくすねてよいものではない。

それで私とケンカになったのだけれど、サトイモの理屈としては、

「ボクのオモチャなんだから、ボクのお金でしょ!」

と云うわけだ。


終了後家に帰ってから、カネの亡者は私に売上金を渡せと言って泣きわめいた。

「ママがボクのお金を盗った!!ボクのお金を返せ〜!!」

まったく人聞きの悪い!!

 

子どもに千円以上の金額を渡していいか迷ったけれど、結局根負けしてサトイモに売上金を渡した。

2,300円もの大金が、あっという間に駄菓子に消えたのは言うまでもない。

 

お年玉がやってくる

「ボク、お正月にじいじやばあばから紙のお金をもらってたよね?あれどこにやったの?」

「ちゃんと銀行に貯金してるよ」

「見せて」

見せないと絶対に納得しないだろうから、通帳を見せた。

 

それ以降、ことあるごとにサトイモは、

「ボクの銀行のお金をおろして!」

と言うようになった。

スーパーなどで、買って買って、ダメダメ、という応酬があると、

「ボクの銀行のお金で買えるでしょ!自分で買うから銀行でおろしてきて!」

というわけだ。

 

「銀行のお金は、大人になってバイクやクルマを買ったり、旅行に行ったりするために貯めておくんだよ」

「だから、子どものうちに使わないようにね」

と、私も夫も説得する。

サトイモも納得はしているようだ。

それでも、どうしてもほしいものがあると、

「銀行のお金使う〜!」

とダダをこねる。

200円のスナック菓子のために下ろせるか!

 

オモチャでよかったのか…

そんなサトイモに、たまたまダイソーで見かけたお金のオモチャを買ってやった。

オモチャのお金じゃ満足しないだろうと思っていたけれど、予想外にドはまり。


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上記画像がそれだけれど(+郵便ポスト型貯金箱)、お札も硬貨もけっこうリアルにできている。

今はとんと見なくなった二千円札があるのも一興。

お札は全然サイズが違うし、硬貨はペラペラのプラスティックで、オモチャ以外の何物でもないけれど、サトイモはすごく気に入ってずっと遊んでいる。

 

これでどんな遊びをするかというと、

  • トミカを売るお店屋さんごっこ
  • 物の値段から、それに該当する金額を揃えるクイズ(例:8,500円→五千円札&二千円札&千円札&五百円硬貨
  • 万札を投げて空中で掴む“万札キャッチ”
  • お札を折って立てて並べ、トミカのコースを作る“お金のガードレール”
  • お札を裏返して並べ、両端の金額部分を2台のトミカでそれぞれ隠して、神経衰弱的に同じお札を当てる“お札合わせ”

 

よくまあ、百均のオモチャでいろいろ思いつくなぁと感心する。

ひとまずこのおかげで、お金がほしい、と親にねだるのは落ち着いた気がする。

 

「ねぇママぁ!自動販売機にこのおカネ入れてみていい?もしかしたらジュース買えたらどうする?!」

今度はいろんなところでオモチャのお金を使おうとするので困っている。

やっぱり悩みは尽きない。

頭以上に悪くなったもの

サトイモは、テレビやゲームに対する執着がすごい。

私自身テレビもゲームも大好きだから、気持ちはわかる。

それだけに、中毒性の怖さを知っているし、

「あの時間を勉強に当てていれば…」

という後悔もある。

一方、アニメやドラマが与えてくれた知識や人生の教訓は数しれないし、ゲームの楽しさは喜びだと思う。

どれくらい許して、どれくらい管理するか。親の悩みどころだ。

 

サトイモが見るアニメの変遷は、ひとつの成長の指標だ。
2、3年前は見向きもしなかった『ドラえもん』を夢中で見るようになった。
妖怪というキーワードから私がオススメした『ゲゲゲの鬼太郎』が好きになった。
私が持っていた「ブラック・ジャック名台詞集トイレットペーパー」を見て、『ブラック・ジャック』に興味を持ち、アニメを見て外科という医学があることを知った。
いずれも昭和の親チョイスで申し訳ないが、古いアニメも配信で見ることができる令和のありがたさよ。


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良いこともあるけれど、見始めると止められないので、ご飯やお風呂、就寝時間などに差し障る。

最終的には、
「もう二度と見せん!!」
とリモコンを取り上げるハメになる。
でも、サトイモは普通の子どものように親の権威に屈しない。

まずはリモコンの取り合い。

サトイモもだんだん力がついてきて、簡単には奪えなくなってきた。
それでも揉み合いのすえ力づくで取り上げ(何歳まで私が勝てるんだろう?)、私がリモコンを隠す。
ところが、隠しても隠しても、サトイモはすぐ探し出してしまう。

高い棚でもよじ登る。
見つかりにくい場所に隠す。
また発見される。
もっと見つからない場所に隠す。

見つけ出す、もっと絶対見つからない、ありえない場所に隠す…。


それを繰り返すうち、とうとう、私まで隠し場所がわからなくなった。

結果、家族中しばらくテレビが見れない日が続いた。

 

「どうせ見られないんでしょ!」
怒ったサトイモは、ある日、テレビの配線を全部引き抜き、B-CASカードを外し、ハードディスクレコーダーをテレビ棚から抜いて自分の部屋へ持って行った。
それで何をしようと思ったのかはわからないけれど、こっちはビックリである。

「今テレビが見れなくたって、予約の録画はできてたんだからね!!」

と私が本音で怒ると、サトイモも自分がしでかしたことがマズイとわかったのか、シュンとなった。
最初J:COMにやってもらった配線だ。自力で元に戻すのには非常に苦労したのは言うまでもない。

 

将来の金庫破り

テレビにロックをかけるのは難しいが、配信サービスはPINコードが設定できる。

サトイモに視聴を許可したときだけ、ロックを解除する。

ところがある日、私がPINコードを入力している指の動きを覗き込んで、

「ああ、わかった、そのボタンとそのボタンを押せばいいんだね」

サトイモが言ったのでゾッとした。

それ依頼、指の動きを見られないように注意している。

 

「ヤバいヤバい、スマホのパターンロックももしかしたら判読されるかもしれん」

と私が夫につぶやくと、それを聞いていたサトイモが、

「もう知ってるよ、ママのスマホのロック」

と言うではないか。

「まさか!でも、ママのスマホ勝手に触ったら怒るからな!」

ところが、私がお風呂に入っていると、サトイモが私のスマホを許可なく持ってきて、

「ママのロック、こうでしょ?」

とニヤニヤ笑いながら解除し、逃げて行った。

裸で追いかけるわけにはいかず、一人怒り心頭。

 

その後認証パターンを変更したが、これまたイタチごっこで、簡単なパターンだとすぐ見破られてしまった。

夫には、

「俺はiPhoneの顔認証やからそんな心配ないけど、Androidにはないの?」

とマウントを取られて気が悪い。

仕方ないから指紋認証オンリーにすると、ある日、センサーがうまく作動しなくなった。

センサーの不具合か、私の指の指紋が浅くなったのかわからないけど、その日一日スマホが使えず、不便極まりなかった。(なぜか夜に復活した。)

結局、今は少し難しいパターン認証と指紋認証の併用で、パターンをサトイモに見られないように気をつける、という対応を取っている。

それにしても、末恐ろしい。

 

休憩しない結果

サトイモには「こどもちゃれんじ」をやらせている。

幼いうちは絵本と玩具教材だったのが、年長さんからは「ちゃれんじパッド」というタブレット端末を支給され、タブレット学習となった。

 

タブレットなら喜んで学習するだろうと思いきや、やったりやらなかったりのムラがひどい。

何日も放置するときもあれば、やり始めると火がついて、どんどんやる日もある。

でも、タブレット

画面の見すぎは目に良くないよ、というわけで、30分経ったら「休憩しよう」というメッセージが出る。

時間を超過してもやりたい場合、「おうちのひと」用ポップ画面に解除コードを入れれば継続使用できる仕組みになっている。

 

この「おうちのひと」の解除コードが問題だ。

ランダムに出てくる「6×7」などの掛け算の答えを入力するだけだ。

あるときサトイモが、掛け算の仕組みについて尋ねてきたので、

「2×3というのは、2が3つあるってことだよ」

と教えてやると、その後、この「おうちのひと」コードを解けるようになってしまった。

さすがに5以上の数字が出たら解けないけれど、何回かキャンセルをやり直すと、数字はランダムなので、いずれ2とか3などが出てくる。

「6が3つあるってことだから…」

と、サトイモでも足し算で解けるレベルになってしまう。

それでサトイモは何時間でもタブレット学習を続けてしまうようになった。

こちらとしても、ま、学習は学習なんだからいいか、と思って許してしまっていた。

 

先日、サトイモの就学前健診があった。

小学校に、来年入学予定の子どもたちが一堂に会す。

健診の中で視力検査があった。

サトイモは右左を間違えて言わないように練習して、張り切って挑んだ。

ところが、

「遠すぎて見えないよ!全然わからない!」

視力が1.0以下だったのである。

 

テレビやゲームは頭が悪くなる以前に、テキメンに目が悪くなる。

たった5歳で視力が1.0もないなんて、しかも原因がテレビやスマホタブレットだなんて。

これからどんな禁止策をとればよいものか。

ここではないどこか

ちょっとさかのぼって、知能検査の結果面談のときの話。

 

面談には、幼稚園の先生も同席してくれることになっていた。

面談の前日サトイモに、

「明日は幼稚園の担任の先生も来てくれるからね」

と言うと、

「あ〜あ、またケンカだよ~」

と大げさにため息をついた。

「誰と誰が、なんでケンカするのよ?」

と詳しく尋ねると、こういう話だった。

 

去年も、発達検査の結果面談のとき、担任の先生が同席してくれた。

平日だったので、私やサトイモはもちろんだけれど、担任の先生も園を抜けて来てくれた。

面談は午前中で終わり、午後登園したとき、サトイモがクラスの友達たちに、

「午前中どうして先生がいなかったかというと、ボクとハーバーランドへ行っていたんだ」

と自慢したらしい。

クラスメイトたちは嫉妬に怒り、ケンカになったという。

面談があった教育センターは確かにハーバーランドにあるけど、そんな言い方したら遊びに行ったのかと勘違いしてしまう。

やれやれ。

 

「大丈夫、今年は夏休み中だからそんなことにならないよ」

と言ってもサトイモは納得しない。

だいたい、言わなかったらいいだけなのだ。

「ほかの子には黙っとけばええやん」

と当然の提案をしても、

「言いたい」

と言う。

自慢しぃめ。

 

もう、ケンカでもなんでもすれば!と思っていたが、当日、来てくれたのは担任の先生ではなく副園長先生だった。

サトイモは少しガッカリした様子だったが、副園長先生こそ、入園時からずっとサトイモを見守ってくれた人だ。

 

副園長先生のエピソードトーク

面談中、サトイモの普段の様子だとか、印象に残るエピソードなどを教えてくれた。

 

新しいスピーカーを買って先生たちみんなが接続方法に困っていたところ、職員室にやってきたサトイモが、

「ここにUSBの穴があるから、指したらいいんだよ」

と教えてくれてビックリしたこと。

 

園庭で一人、ずっと空を見上げていたので、

「何を見てるの?雲かな?」

と先生が尋ねると、

「どうして幼稚園には避雷針がないの?」

と答えたという。

副園長先生が、建築時にきいた、ここの園舎は周りの建物より低いため、避雷針設置の必要がない、という知識をサトイモに教えたこと。

 

「ほかの子とは視点が違うというか、ビックリするような問いかけがあって、こちらも勉強になります」

と言ってくれた。

 

でも、良いことばかりではない。

年長さんになってしばらくはクラス活動にも参加できていたけれど、だんだんクラスを抜け出す回数が増え、しょっちゅう職員室に遊びに来るらしい。

 

その理由を私達大人がよってたかって分析する。

  • クラス活動が退屈になると、ガマンがきかなくてウロウロしてしまう。
  • クラスの空気から抜け出して、気分転換したい。
  • 子ども同士だと忖度してくれないが、大人(先生)たちは自分の話を聞いてくれるし、自分に合わせてくれるので居心地が良い。

 

加えて、最近は年少クラスに出入りすることも増えた。

というのも、年少クラスに副園長先生がサポートに入っているため、脱走したサトイモを副園長先生が年少クラスに呼び込んだのがきっかけだ。

「お兄さんとして、カッコいい年中さんになるにはどうすればいいか、みんなにお話をしてください」

とお題を与えられ、サトイモはひとしきり演説をぶったそうだ。

 

「みんなはちゃんと一人でトイレに行けていますか?」

とか、

「道を渡るときは右左右を確認して、手を挙げて渡りましょう」

とか、

「お話を聞くときは、おイスに座って静かに聞きましょう」

とか、「おまえもな!!」のオンパレードで、笑ってしまう。

年少さんにはマウントを取れるから、過ごしやすいんだろう。

プライドの高さが恥ずかしい。

 

面談の後日、サトイモは担任の先生にこんなことを言ったらしい。

「先生、どうしてハーバーランドへ来てくれなかったの? おそとで先生と会える特別な日だから楽しみにしてたのに、残念だったよ。しかたないから、副園長先生でガマンしたけどね」

おいおい、副園長先生がこんなにお世話してくれてるのに、なんて言い草だよ!と呆れてしまった。

 

幼稚園じゃないところに行く

幼稚園の先生方には、最大限配慮してもらっていると思う。

ほかの園ではどうなのか比較できないからわからないけれど、これで文句を言ったらバチが当たると私は思っている。

 

それなのに、サトイモは些細なことで癇癪を起こし、先生方を困らせている。

手摺りによじ登るのをいくら注意されてもやめないし、園庭の柵を乗り越えようとするし、毎日余計なものを幼稚園に持っていってはトラブルを起こしている。

 

そして注意されるごとに、

「もう今の幼稚園行かない。別のところへ行く」

と言う。

それに対して私は、

「今行ってる幼稚園ほど良いところはないんだよ!」

とか、

「今の幼稚園以外、あんたに選択肢はないんだよ!!」

などと、ついカチンときて言ってしまうが、一度ゆっくり尋ねてみた。

 

すると、サトイモが言う「別のところ」とは、別の幼稚園や保育園、託児所、という意味ではないらしい。

はっきりとしないが、公園のような自然のテーマパークのような場所で、想像上のパラダイスのような場所へ行くと主張するのだった。

 

それって、寺山修司が詩に書く「ここではないどころ」ってことかな。

悩めるすべての人が漠然と持つ、「ここではないどこかへ行きたい」という願望。

 

人生はずっと、「ここではないどこか探し」なんだけどな、とサブカルママは思う。

ここではないどこか。

そこに本当の自分がいる気がする。

けど、実は自分は探すものではなく、作るものなのだよ、と心の中で思う。

サトイモは「ここではないどこか探し」のスタートに立ったばかりだ。

 

幼稚園に行かない、といいつつ、私が作るルイボスティーより、

「幼稚園の麦茶が一番美味しい」

らしいし、こだわって購入している低温殺菌牛乳より、

「給食の牛乳が好き」

と言う。

なんだよ、幼稚園大好きなんじゃないか。

小学校見学に行ってきた話

年長さんになってから、幼稚園の担任や通級指導教室の先生から、やたらと小学校に電話しろと言われるようになった。

「来年、こういう特性がある子どもが入学しますので、配慮してください」

という主旨の電話だ。

児童発達支援教室のママ友も、療育センターから同じようなとを言われているとのことだった。

 

でも、いつ、誰に電話したらよいのか、さっぱりわからない。

それで、職場で知り合った元教員(元校長・教頭)に相談してみた。

その人のアドバイスはこう。

 

電話は教頭先生にかける。

ただし、教頭を指名せず、「来年入学予定の子供の保護者です、特性のある子供なのですが、どなたにお話したらよいでしょうか?」と尋ねてみる。

会って話せたらベスト。そのとき、どういう特性があるのか、何が心配なのかを書類にまとめたものを持っていく。

電話だけで終わるようなら、特性を文面に書いたものをお送りしたほうがいいですか?と尋ねたうえで、書類を送る。

 

「時期は、そうなやなぁ、2月入ったくらいかなぁ。今は何がなんでも早すぎるわ。1月に次の体制の話が出始めて、3月には担任が決まるから、その間くらいがベストちゃうかなぁ」

ということだった。

「せやけど、ボクが教員しとった頃の話やで。だいぶ前の、しかも西播磨の田舎の話やから、今の神戸の学校がどうかは知らんで」

 

すぐに電話をかけて

児童発達支援教室の先生で、元小学校教員をされていた先生も、2月くらいがいいだろうと言っていた。

2月ならまだまだだな、と、私はのんびりかまえていた。

それなのに、幼稚園の先生に会ったとき、

「まだ電話してないんですか?!」

とビックリされてしまった。

「夏休みでも早くないくらいですよ!」

ええっ?!?!

 

通級指導教室の先生からも、

「11月の入学前検診の時期になると、相談や面談のアポイントがぐっと増えますから、その前に話をしておかないと!」

とひどく急かされた。

 

慌てて小学校に電話をかけて、教頭先生にアポイントをとった。

そのときは私の都合に合わせて日時をセッティングしてもらったが、私より少し遅れて電話したママ友は、面談が立て込んでいて、教頭先生の空いている時間をピンポイントで指定されたとのことだった。

同じように来年入学予定の問題児の親たちが列をなして相談につめかけているのだ。

教頭先生って、大変だ…。

 

アポイントをとったあと、PowerPointで『サトイモの取扱説明書』を作成した。

私の思いをギュッと詰めた。

こうやって文字でまとめてみると、本で読む典型的な発達障害みたい…。


夫の意見を求めたところ、誤字脱字の指摘と、意味が重複する文の削除くらいで、

「まぁええんちゃう」

という、ほめもせず、けなしもしない態度だった。

たぶん、けなしたら私が怒ると思って、意見を言わないのだろう。

最近そういうことが増えた。

 

児童発達支援教室の先生に意見を求めると、2点、指摘が入った。

まず、学校への要望はやめたほうがいいということ。

「お母さんが迷惑をかけたくない、だから放っておいてくれてかまいません」という気持ちはわかりますけど、学校には学校なりの関わり方がありますから、そこまで書かれなくても」

と言われてしまった。(なので、アップした上記資料からは削除している。)

もう1つは、タイトルの「取扱説明書」。

私自身はパロディのつもりだったが、真面目な人には「子どもは物ではないでしょう?」と映ったようだ。

先生は西野カナの『トリセツ』を知らなかったのかな。いや、ただスベッただけか。

 

客観的意見は大切なので、先生のアドバイスを受けて、バージョンアップした資料を印刷して(それが上記画像)、面談に臨んだ。

 

小学校見学

その日、私は会社を休み、サトイモも幼稚園を休んで、二人で小学校を訪問した。

初めての小学校に、二人してドキドキわくわく。

 

教頭先生が出てきてくれて、最初は職員室の奥にある、校長室の応接に通された。

サトイモもしばらくは応接イスに座っていた。面談は持参したトリセツと知能検査の結果を見ながら面談を進め、最後にはそれらを渡した。

教頭先生はすでにサトイモの名前がテプラ(!)で貼られたファイルを用意してくれていた。

「大丈夫そうですけどねぇ。ちゃんとイスに座れているし、言葉のやりとりもできているし、目も合うし。小学校1年生なんて、みんなそんなもんですよ」

教頭先生は呑気にそう言った。

 

でも、しばらくするとサトイモは私と教頭先生の話に退屈しはじめ、ソワソワしはじめた。

校長先生の机周りにある電源、パソコンの配線、プリンターの配線が気になって、それが見たいと言う。

「電気の配線やUSBコードが大好きなんです」

と私が言うと、

「見ていいよ。でも、線を抜くのはやめてな」

と教頭先生はサトイモに優しく許してくれた。

サトイモが退屈するので、ゆっくり話す時間はなかったけれど、サトイモという子供の雰囲気は理解してもらえたのではないかと思う。

 

その後、特別支援級と1年生の一般級を案内してくれた。

サトイモは授業には全く興味を示さず、ロッカーに入っている「さんすうセット」が気になってしょうがない様子だった。

その後、自由に校内を見学していいとのことで、サトイモと校舎をひととおり見て回った。

 

一輪車や校庭の遊具を見て、サトイモは遊びたがったが、

「今日は見るだけだよ」

と私は都度都度注意した。

珍しく、サトイモはその注意をちゃんと守ってくれた。

私の手を放して勝手に走りだすこともなかった。

サトイモなりに緊張していたのだろう。

 

休み時間、小学生たちが廊下に並んで、教室移動を始めるところに出くわした。

「みんなどこに行くのかな?ついていってみようよ!」

サトイモは興味津々で、小学4年生たちの最後尾について行った。

ついて行った先には音楽室があり、音楽の授業が始まった。

 

しばらく二人で音楽の授業を見学した。

リズムに合わせて隣の児童の肩を叩こうとか、手を叩こうなどといった指導のとき、私が授業に参加している形でサトイモの肩をポンポンと叩くと、サトイモはのってこない。

さらにポンポン叩いていると、

「もう!今日は見るだけでしょ!」

サトイモに注意されてしまった。

 

授業中、先生に何度注意されてもノートパソコンをしまわず、パソコンをいじっている児童が一人いた。

みんな立って歌っているのに、その子は歌うどころか立ち上がりもしない。

あまりに勝手なことをしているので、私はビックリしたけれど、周りの子たちは平然としている。

スクリーンの壁紙が見える。その子が作ったらしい、「〇〇のちんぽ臭すぎだろ」という文字が躍っていた。

○○が先生なのか友達なのか知らないが、そういうことを書く精神にゲンナリする。

よくも悪くもこういう子が一定割合いる。それが今の学校の当たり前の光景なんだろう。

 

その後、私達は帰る前に教頭先生に挨拶をするため職員室に戻った。

サトイモは職員室にあるキーボックスが気になったらしく、鍵を触ろうとしたので、私は慌てて制止した。

「さわらないよ!数えてるの!」

サトイモは憮然となった。

はいはい、といなして、教頭先生にお礼をいって失礼した。

「わからないことがあれば、いつでもご連絡くださいね」

と教頭先生はどこまでも親切だ。

すると去り際、サトイモは教頭先生に言った。

「ねぇねぇ、カギの数をかぞえたら、お部屋がいくつあるかわかるってこと?」

「え?あ、そういうことになるかな」

教頭先生は、少し面食らったようだったけれど、にっこりして最後にバイバイしてくれた。

「次は就学前健診のときね~」

 

教頭先生はとてもいいかんじの先生で、私もサトイモも安心した。

同じように面談したママ友からも、教頭先生については高評価だ。

「でも、教頭先生が担任してくれるわけじゃないしね〜」

ママ友の言うとおり。

すべては担任次第。

教頭ガチャはうまくいったけど、担任ガチャも当たりますように。