今日も父を見舞いに行ってきた。
昨日と違い父は眠っていて、起こすと、
「ポカリ持ってきたか?」
と言う。
「飲まれへんやろ」
と答えると、またウトウトしてしまった。
その繰り返し。
看護師さんに聞くと、今日は車椅子に乗って少し外を散歩したそうだ。
昨日持ってきた新しい靴と靴下のサイズはちょうど合っていたらしい。よかったよかった。
ベッドから車椅子に移動するとき、その靴をはいてつかまり立ちをしたが、しっかり立てていたとのこと。
ただ、看護師が、
「今何月かわかりますか?」
と尋ねると、
「7月」
と言い、季節は「夏」だと答えたらしい。
「冬ですよ、みんなコートを着ているでしょう?」
と教えてくれたそうだが、私が同じ質問をしても、やはり7月で夏だと言っていた。
このままボケてしまうかもしれない。
テレビは見ようとしたのかたまたまなのか、『七つの大罪 黙示録の四騎士』がついていた。
自慢の父
私が父について評価している数少ない点の一つに、アニメをバカにせずに見る、ということがある。
7、8年前、父が80歳頃の話だが、私がテレビで録画した『ドラゴンボールZ 復活のF』を見ていたとき、画面を覗き込んだ父が、飛んでいるフリーザ軍のザコキャラだけを見て、
「ドラゴンボール見とんか」
とつぶやいたことがあった。
「このシーンだけ見てなんでわかったん?!」
と私が驚くと、
「なんでって、ドラゴンボールやろ?」
と平然と言った。
ドラゴンボールを観ている30代後半の娘もたいがいだが、それがわかる80歳の親父もたいがいだ。
『七つの大罪』は最初のシリーズだけしか見ていない。
余裕が出てきたら、続きを見てみようかと思った。
状況を楽しむ
わざわざ姫路まで行くのに病院の往復だけだと虚しくなるので、心配して連絡してくれる友達たちには、お茶でもしよう、と甘えている。
今日は第一弾。
ゆっくりおしゃべりして楽しかった。
父のおかげで、サトイモから離れてのんびりさせてもらっている。
父、というより、おかげというなら夫のおかげなのだが。
年末からこっち、休みの日はほとんど、サトイモの世話は夫にお任せしている。
サトイモは、私が言ってもきかないことでも、夫の言うことならきいてくれる。
「ママがいいよぅ〜!」
とダダをこねることもあるけれど、無理やり引き剥がして夫に預ける。
コブが取れたこぶとり爺さんみたいにスッキリした気分。
最近サトイモはちょっと気に入らないことがあるとすぐに、
「ママのせいだよ!!」
と怒る。
あまりに腹が立つので、
「そんなふうにママのせいにされるんやったら、もうサトイモの世話はせんわ。一人でやるか、パパにやってもらって」
とネグレクトしている。
あまり効果はないけれど、「ママのせい!」の対処法がまだ見当たらない。
最も「ママのせい」を感じるのは、幼児教室だ。
私が付き添いをしていたときは、大暴れして授業にならなかった。
ところが、曜日を土曜日に変えてもらって、付き添いがパパになってからは、サトイモは大人しく授業を受けているらしい。
昨日も、宿題のプリントを一気に18枚もやっつけて、授業中も良い子だったという。
一体何が違うんだ…。
夫は私の対処法が悪いと言う。
そーですか、と拗ねる気持ち半分、これ幸いと夫に押し付けられてシメシメという気持ち半分。
今日ももう終わり。
とうとう、昨日落としたイヤリングは見つからなかった。
写真は失くなくならなかった方のイヤリングと、まねきのえきそばの看板。
父は電車に乗ると、必ず姫路駅でえきそばを食べていた。
きっと今でも食べたいだろう。