9月の土曜日参観の代休に、初めてキッザニア甲子園へ行った。
私的には散々だったけれど、サトイモはすごく楽しかったらしく、また行きたいと言ったので、
「キッザニアには、学校行事の代休のときに行く」
というルールを設けた。
もちろん、行事に参加しなかったらキッザニアもなし。
そして、11月4日、音楽会の代休の日に2回目のキッザニア訪問。
音楽会に参加できたのは、ご褒美のキッザニアが効いたのかもしれない。
大キッゾ持ちになりたい
今回サトイモが参加したアクティビティは、レンタカー、乗馬、ガソリンスタンド、パッケージデザインの4つ。
終了時刻まであと2つくらいできるのに、
「疲れた、もうやらない」
と、2時間近く早めの退場。
入場料金7,300円もかかってるんだからもっと働けよ!
と私は意味なく帰り道イライラしてしまった。
お金が大好きなサトイモは、キッザニア通貨「キッゾ」を銀行に預けることと、それをまたATMでおろすことにご執心で、何回も銀行とATMを往復。
なんでそんなことをしているのか理由を尋ねると、10キッゾ札を預けて、1キッゾに崩したいからだそうだ。
両替マニア!!
それもキッザニアの楽しみ方だと言われたら、勝手にしてくれとしか言えず。
サトイモがキッザニアが大好きな理由は、働くことよりお金にある気がする。
当然、キッゾは貯めるばかりで、買い物に使うことはしない。
入場待ちの列にいるとき、前にいる男の子が、
「俺、バリキッゾ持っとうから」
と札束をヒラヒラさせて隣の子に自慢しているのを見て笑ったのだけど、それに対してサトイモは、
「あれ札束やけど、1キッゾ札ばっかりやん」
と闘志を燃やしていた。
サトイモがATMで1キッゾを集めていたのは、あの子みたいに札束を持ちたかったのかもしれない。
傾向が見えてきた
小川大介先生の「親にだけ講座」は先月無事修了して、私も少しずつ、サトイモの行動の傾向と対策が見えてきた。
今回のキッザニアでは、その学びが活かせたような気がする。
まず、乗馬体験のとき、サトイモの態度がひどく悪かった。
説明を全く聞いていないし、勝手に器具に触ろうとするから、指導スタッフから何度も注意を受ける。
注意されるからまたサトイモがフテ腐れた態度をとる、という悪循環。
今までの私だったら、
「こらサトイモ!ちゃんとしなさい!情けない!」
と恥じ入るところだろう。
でも今回は、スタッフの説明を聞きながら、
「これじゃサトイモの耳に入らないよな~。ダメだこりゃ」
と状況を俯瞰できた。
説明スタッフがマスクをしているから、表情も見えず声がこもって聞きづらい。
そのうえ早口。威圧的な声のトーン。抑揚のないしゃべり。自動説明マシーンになってしまっている。毎日同じ説明を何度も繰り返して、飽きてるせいだろう。
目の前にいる子どもに伝えよう、わかってもらいたい、という気持ちが感じられない。
昔、演劇部の稽古のときに、「セリフを相手に届けて」と言われたことがあるけれど、相手に伝えようという気持ちがあるのとないのとでは、内容の入り方が違うものだ。
どうもそのスタッフは、心の底で「こっちがしゃべってやってるんだから、しっかり説明聞けよ!」と思っているのが透けて見えた。
「これが鞍、これがアブミ、これが手綱。覚えてください」
早口でツラツラ言われたところで、7歳の子の頭に入るわけがない。
ましてやサトイモは発達障害。あの人の声は、「説明」ではなく「音」にしか聞こえてないんじゃないか。
人の振り見て我が振り直せとはこのことで、自分も普段こんな説明をしていないか、振り返るいい機会になった。

逆に、子どもの扱いがうまい!と感心したスタッフもいた。
ガソリンスタンドのサービススタッフの開始待ちをしていたとき、サトイモが癇癪を起こし始めた。
「待機場所はここだから、ここに座ってて」
と何度も言っているのに、開始時間が過ぎているのに呼ばれないのに焦ってしまい、
「場所が違うんだよ!じゃなかったらおかしいじゃないか!」
とどこかへ行ってしまいそうになったのだ。
抱きしめながら何度もなだめていると、お兄さんがサービススタッフの制服を持ってきてくれた。
「座って待つ指示なのにうろうろしてすみません」
と私が謝ると、
「座ってなくても大丈夫ですよ~。長い間待たせちゃってすみません! 担当者が遅れてまして! もうちょっとお待ちくださいね!」
と聞き取りやすい大きな声で明るくハキハキ、子どもに対しても大人と同じような敬意を持って話してくれた。
これぞキッザニアスタッフの鏡!
お兄さんに話しかけてもらったことでサトイモが落ち着いて、気を取り直し、無事アクティビティに参加することができた。
癇癪がエスカレートしたら手がつけられないので、土俵際で踏みとどまれたのはすごい進歩。
帰宅後、夫から、
「何が一番楽しかった?」
と尋ねられたサトイモの回答は、
「パッケージデザイン」。
DNPでグミのパッケージデザインを作るというもの。
最初にデザインの理論を学んで、タブレットを使ってデザインをし、グループ内で自分のデザインをプレゼンし、最後に印刷された自分デザインのグミのパッケージをもらえるというアクティビティだ。
サトイモは普段自分のパソコンで、PowerPointで好きな画像をコラージュしたり、ペイントで絵を描いたりするのが好き。
なじみのある得意な作業だったのが良かったんだろう。
スタッフの説明を聞いていない場面もあったけれど、一応ちゃんと座って全工程をこなしていた。
怒られなければ、なんとか場面についていけるってことなのかな。

なかよしに決めた
来年から、サトイモは特別支援学級(なかよし学級)に入級することに決めた。
通常学級、特別支援学級、どっちがいいのか。
去年からずっと私の悩みの種だった。
でも、今は迷いなく特別支援学級を選択できる。
「体験に行ってみて楽しかった、なかよしがいい」
という本人の希望が大きい。
私の中でも、アニメ『宇宙兄弟』を見ていて、金子シャロン博士のこのセリフで確信が持てた。
迷ったときはね
「どっちが正しいか」なんて考えちゃダメよ
日が暮れちゃうわ
頭で考えなきゃいいのよ
答えはもっと下
下げて下げて…
あなたのことならあなたの胸が知ってるもんよ
「どっちが楽しいか」で決めなさい
(宇宙兄弟 第20話 一番酷い仕打ち)
正式な書類提出はまだだけれど、学校には来年入級の意思をハッキリ伝えた。
入級に向けて、今年度はこれから2週間に一回程度、サトイモはなかよし学級で過ごすことになるそうだ。
サトイモに伝えたら
「楽しみ~」
と言っていた。
楽しいことしかないよ、これから。