ニンテンドーSwitchには、ボイスチャットという機能がある。
フレンド登録をしていれば、お友達とオンラインでお話をしながら一緒にゲームができるというものだ。
夫いわく、「自分らの子ども時代から考えると、夢のような機能」。
ここ数日、サトイモはボイスチャットで友達と遊ぶのにはまっている。
サトイモのSwitchフレンドは一人だけ。
同じクラスのお友達のワカくん。
ワカくんも発達障害があって、特別支援学級に在籍している。
似た者同士の二人は本当になかよし。
マイクラとウォブリーライフというゲームで遊んでいて、ボイスチャットで二人が話しているのを聞いても、すごくほのぼの。
「ぼく、金のブロックで斧を作ったんだ~」
「ねえねえ、ここに一緒におうち作らない?」
「さっき釣りでエンチャント本をゲットしたんだよ~」
二人ともしゃべり方が幼くてのんびりしているから、波長が合うようだ。
学校に来てほしい
たまには一緒に公園にでも行こう、と双方の親が提案して、日曜日の午後にはワカくんと一緒に久々にリアルで遊んだ。
当然学校の話になって、ワカくんが、
「サトイモくん学校に来てよ~。ぼく、サトイモくんに来てほしいよ~」
と言ってくれた。
「わかった。学校行く」
サトイモは二つ返事。
「ええっ!!サトイモ学校行くの?」
「行くよ」
先週、私は不登校が長引くのを覚悟して、「給食とめてください」とようやく連絡したばかり。
2月は一回も給食を食べなかったのに、給食費4,500円を返してくれ!と言いたいよ。
「行っても給食ないんやで」
「食べなかったらいいんでしょ」
まあ、給食がなくても、お弁当を持たせればいいだけなので、それはハードルではない。
問題は、トラブルの再発だ。
今度また暴れたり暴力をふるったりしたら、いよいよみんなからモンスター扱いされてしまう。
「じゃあ、また嫌なT先生の授業があったらどうする?」
「次は…やっつける!」
「やっつけたらあかん!!!」
「じゃあガマンする。ガマンすればいいんでしょ」
ガマンするのもよくない。
子どもにガマンを強いることなく、環境側(学校や大人側)が配慮・調整するべきなのだ。
ここが一番難しい。
不登校の子が、時間割もわからないまま突然学校に行ったところで、学校が急に配慮できるはずがない。
いろんなところで配慮も調整もできず、ひずみが生じるに決まっている。
思ったより早い登校再開
ワカくんの前では「月曜日から学校へ行くよ」と言っていたサトイモだったけれど、日曜の夜寝る前に、
「本当に明日学校行くの?」
と尋ねてみたら、
「う~ん、わかんない…」
となり、結局朝は起きてこなかった。
それでいいのだ。
月曜日の放課後、火曜日の登校に向けて、担任の先生と電話で打ち合わせをした。
もともと、サトイモは火曜日の3時間目に、通級教室の先生に付き添ってもらって、なかよし学級の見学をする予定になっていた。
その後で1時間でもいいから通常クラスに顔を出せたらいいな、というのが私の考えだった。
4時間目のあと帰宅すればいいと思っていたけれど、担任の提案で、お昼はお弁当を持たせて隣の空き教室で食べ、5時間目も受ける話でまとまった。
サトイモはスピーカーホンで、担任と私の話を聞いていて、本人もそれで頑張る、という。
無理しなくてもいいんだけどな…、と私はちょっと不安だったけど、サトイモが学校に行ってくれて、私の時間ができたらこんなにうれしいことはない。
そうしてくれたら、一人でゆっくりNetflixで『ストレンジャー・シングス』の続きが見れる!!
合言葉は「おうちに帰らせて」
ひっかかるのは、サトイモがよく、
「学校の先生に投げ飛ばされる」
と言うことだ。
叩かれたり蹴られたりすることはないのだけど、先生から投げ飛ばされるらしい。
サトイモがつかみかかってくるから、先生たちは仕方なくそうするんだろうと思う。
でも、まず大切なことは、サトイモがつかみかかってくる状況に陥らせないこと。
そうならないような環境調整が必要なはずなのだ。
担任の先生から投げ飛ばされたことはないらしく、決まって担任以外の先生だ。
頭ごなしに怒るんだろう。
学校内で、サトイモには配慮が必要だということや、発達障害児童の扱いが共有されていないのだ。
「学校に行っても、絶対に、先生やお友達に暴力をふるったり、物を投げたりしない!逃げ出すのもなし!わかった?」
「でも、そうしないと、ひどいことされちゃう~」
「それは先にサトイモが暴れるからでしょ。無理って思ったら暴れずに、その場でうずくまって、『おうちに帰らせて』って言って」
「帰らせてくれなかったら? 帰らせてくれなかったこともあったよ」
「帰らせてください、ってこれだけお願いしてるんだから、これからは大丈夫だよ。もしそれで帰らせてくれないようなことになったら、…お母さんは動くよ!」
「どこに?」
「わからんけど。子どもには子どもの権利条約っていうのがあるからね。子どもを閉じ込めていい権利なんて、学校であっても、そんなことしちゃダメなんだよ。人をどこかに閉じ込めるのは法律違反なの。お母さんが子どもを帰らせてくださいってお願いしてるのに、学校が子どもを閉じ込めるようなら、どっかに訴えるよ!」
「ふ~ん」
サトイモはとにかく「無理!」となったら「おうちに帰れる」という安全を保障されて、ちょっと安心したようだった。
旅行が目前!
そして今、まだ電話はかかってきていない。
明後日からはベトナム旅行だ。

サトイモには、
「ベトナム旅行に行くこと、担任の先生やクラスのみんなには言わないでよ」
と釘を刺したけれど、
「なんで?言いたいよ~」
とウズウズしていた。
「学校では絶対言わないこと!!」
ちゃんとガマンしてくれていたらいいんだけど。
不登校だから問題ないと思っていた平日の旅行プラン。
なまじ学校に行けるようになってしまうと、学校休んで何旅行しとんねん、ということになってしまう。
こんなタイミングで登校再開なんて、本当に間が悪い。