警察に行った翌日、サトイモと一緒にこども家庭センター(児童相談所)に行った。
事前に、まず母親の話を聞きたい、と言われ、行くのは私一人でよいと言われた。
でも、
「学校に行ってなくて預け先がなく、6歳の子どもを一人家に置いてでかけるわけにはいかないので、連れて行ってもいいですか?」
と話をしていた。
ところが、あとで連絡を受けたときには、
「お子さんがお母さんと離れるのが難しくて、一緒に来られるんですよね?」
と言われ、「え?そういうわけじゃなくて」と驚いた。
このときから、なんかちょっとおかしいな、という予感。
最初に「おや?」と思う場合、のちのちも「おやおや??」と眉をひそめる事態になるのはよくあること。
今日はこども家庭センターに行くよ、と伝えると、サトイモは朝、行き渋った。
「ママが話をするだけで、サトイモはじいじのスマホでゲームしてていいよ。ついてきてくれるだけでいいから。来てくれたら、終わったあと隣のこべっこランドで遊ぼう」
と説得し、なんとか同行。
神戸市のこども家庭センターは、去年、こべっこランド(大型の児童館)とともに、ハーバーランドから和田岬に移転した。
新しいピカピカの施設だ。
去年こべっこに行ったことがあるので、こども家庭センターの場所は知っていた。
でも、中に入るのは初めて。
子どもの扱いに慣れてるのか?
入ってすぐの受付でアポイントを伝え、その横の待合いスペースで待つ。
他にも何組かの親子。
時間通り担当者がやってきて、館内を移動。
誰ともすれ違わない。誰もいない。放課後の校舎みたい。
案内された場所は、いくつかのテーブルとイスが並ぶ広いオープンスペースだった。
病院の入院患者が面会に使うような談話室といったかんじだ。
周囲はシーンとしている。
「どうぞ、お好きな場所に」
と言うので、
「えっ?ここで話をするんですか?」
と驚いた。
「いえ、面談は別の部屋なんですけど、サトイモくんにはここで待っていただくんですが、大丈夫ですか?」
「大丈夫もなにも…、こんなところに子どもを一人で置いておくんですか? 数分ならいいですけど、そうじゃないですよね? 例えば、トイレに行きたくなっても、誰もいないから場所も聞けないし、この場を離れることを伝言もできないし。目撃する人もいないからどこへ行ったかわからなくなりますよ」
「そうですね…」
「せめて、何かあったらこの人に聞いてね、とか、どこにママたちがいるから来てね、って約束をしておかないと、普通の子どもでもこんなところで一人で放って置かないんじゃないですか」
「じゃあ、面談の場所を教えておきましょうか。あ、それか、サトイモくんがこの状態なら、同じ面談室にいても大丈夫かもしれませんね」
サトイモはすでにスマホのゲームに夢中になっていて、耳にはイヤホンをしていた。
「どっちがいいですか」
と尋ねられたので、
「サトイモ本人にどっちがいいか聞きます」
と私がサトイモに尋ねると、
「ママと一緒に行く」
というので、同室で面談をすることになった。
こども家庭センターではおそらく様々な問題を抱えた家族が相談に来ていることだろう。
子どもを相手することも多いだろうから、年齢ごとの子どもの扱いに慣れている、適切な扱い方がわかっていると思っていたけれど、全然違う。
子どもの待たせ方ひとつとっても、なんだか不安ばかりだ。
立派なのはハードばかり
面談の部屋は、各部屋に四人掛けテーブルが置いてある小部屋で、そのフロアの通路には両側にいくつもの小部屋が並んでいた。
新しくて、立派な施設。
しかし、使っているのはうちともう一家族くらい。
静かなのは防音してあるせいもあるんだろうけど、ガラガラな印象だった。
面談は結局、私が一人であれこれ説明をする。聞かれたことに答える。それだけ。
私自身、しゃべることで頭が整理されるし、しゃべりながら思い出すことで発見や気付きがあるけれど、「相談」によって新たなアドバイスや進展が与えられることはあまりない。
こども家庭センターでは特にそうだった。
進展といえば、次の週に発達検査を受ける予約をしたことくらい。
帰りに担当者から、
「こちらには一時保護をする施設もありますので、ご希望があれば利用できます」
と言われたけれど、
「申し訳ないですけど、手が足りてなさそうですし、ここに預けるのには不安があります」
と伝えた。
こんなところに預けたら、サトイモはなおさらグレてしまう。
また、
「問題があったら、緊急時に対応できる189というダイヤルがありますので」
と言われたけど、
「こないだ110にかける前に189にかけましたけど、つながらなかったんで」
とこれも嫌味な回答をしてしまった。
制度はきっと整っているんだ。
でも、圧倒的に人手が足りてない。
理想や目標とするところばかりで、予算と人員ははるかに及ばないんじゃないか?
生活は政治と無関係ではいられない
帰宅後、夫にこども家庭センターがどんなところだったのか話すと、
「それは問題やな。神戸市長へ手紙かなんか出さなあかんな。それか、市議会議員に言うとか。こないだの夏祭りに議員が来とったやんか。今度見つけたら、つかまえて直訴しょうか」
などと言う。
市政に何か言わないと、という発想があるのか、と少し驚いた。
自分らの子育てを棚に上げて、よう言わんわ!
そういえば、去年こんな事件があった。
サトイモと同じ歳だったから、他人事ではなかった。
ニュースが出ると、区役所や児童相談所は何をしてたんだ的な意見がでるけれど、それで、今年の予算とか人員とかは改善されたんだろうか?
そこにいる職員の努力と根性だけで改善しようとしてるんだろうか?
だとしたら、結局何も変わってない。
また悲しい事件は起きるかもしれない。
こども家庭センターの面談のあと、私とサトイモはこべっこランドで遊んで帰った。
室内遊具で遊び、ボードゲームで遊び、屋外遊具で遊び、工作室で万華鏡を作った。
平日なので空いていて、たっぷりと遊べた。
素晴らしい施設。箱だけはほんとに素晴らしいよ…。
建設業にはちゃんとお金がまわったことだろう。
さて、上の画像は、右がこべっこランドで作成した万華鏡、左が最近サトイモが生み出したトミカ虫。前衛アートそのもの。
学校に行かずにこんなことばっかりやっていて、どうなってしまうんだろうか…。