奇才サトイモの元気が出る発達日記

発達障害(ADHD&ASD)の疑いがある息子サトイモの子育て日記です。

それが答えだ!

サトイモの今のマイブームは映画『リメンバー・ミー』。

2024年7月19日に金曜ロードショーで放送された録画を、何回も繰り返し観ている。

「今日もまた観てんの?!」と呆れながら一緒に観ていて、ふと気がついた。

「あの質問は『リメンバー・ミー』の影響だったのか!!」

父の法事のときにサトイモがお坊さんに対して、

「じいじはお浄土でまた死ぬことある?」

と尋ねたことがあった。

奇妙な質問に、お坊さんも私も、なぜそんな発想になるのか不思議だった。

「お浄土に行ったら、ずっとおるんや」

でも、『リメンバー・ミー』では、死後の世界も永遠ではなく、この世で家族や誰かが覚えていてくれているうちは存在できるけれど、家族に忘れられてしまうと消えてしまう、という設定だ。

だからサトイモはあんな質問をしたのか、と合点がいった。

サトイモが忘れてしまわない限りは、じいじもばあばもあの世で生きているんだよ。

それが答えだったのだ。

 

この夏はいろいろと、謎が浮かんでは、やがて答えがわかる、ということがあったので書いておこうと思う。

 

②の謎:伯母の戸籍

父の四十九日後に満中陰志を送ると、受け取った方たちから続々と電話がかかってきた。

父の妹であるキコ叔母さんもその一人だった。

近況報告など雑談をしたあと、私は恐る恐る、気になっていたことを尋ねてみた。

父の姉のミコ伯母さんのことだ。

父とミコ伯母さんはよく似た姉弟だったけれど、父の戸籍を見ると、ミコ伯母さんは養女だったことがわかった。

父が生まれる数日前に、父方の叔母夫婦から養子縁組されていたのだ。

父とミコ伯母さんは2つ違い。

なぜ出産直前中にイヤイヤ期の幼児を養子に?

ミコ伯母さんはとっくに死んでいるので、事情を聞くことはできない。

ミコ伯母さんの死後の手続きは父がしたので、父はミコ伯母さんが本当のきょうだいではないことを知っていたはずだが、その事実をいつ知ったのはいつなんだろうか。

そんな謎を、キコ叔母さんに恐る恐るぶつけてみた。

「キコ伯母さん、ミコ伯母さんの出生のこと、知ってましたか」

「それ、ちゃうんやで」

間髪入れずに叔母は答えた。

「ほんまのきょうだいやで。事情があって、ちょっとの間、おばさんのとこに養女に出とったんやけどな、戻ってきたんや。それだけ」

そういえば、私が妊娠してしまった後、夫が父に入籍のあいさつに来たとき、父がこんなことを言っていた。

「俺の親父とおふくろは駆け落ち同然やったから、長い間親から結婚を認めてもらえへんかったらしいわ。俺が生まれるときに、ようやく許してもらえたんや。そんなもんや」

かわいそうに、結婚を反対され、子ども(ミコ伯母さん)が生まれても養女に出され、第二子を出産するという段になってようやく結婚を認められ、子どもも本当の両親の元に戻された。そういう経緯らしい。

時は戦前。

今では考えられない養子縁組の世界がそこにある。

 

ただ、父の話では、

「跡継ぎ(男の子)が生まれたということで、結婚が許された」

ということだったが、戸籍を確認すると、結婚した日付もミコ伯母さんが戻ってきた日付も、父の妊娠中。

当時、エコーで妊娠中に男女の判別ができたとは思えないから、第二子の性別は関係なかったのではないか。

謎はひとつ解決したけど、またひとつ疑問が残った。

 

③の謎:外国人美女

海水浴に行った切浜の民宿でも、私と夫で推理ごっこをする事案があった。

サトイモが部屋に備え付けのスーパーファミコンをやりたいと言い出して、女将さんにどうやったらできるのか尋ねに行ったときのこと。

「私はゲームのことはよくわからないんですよ。お姉ちゃんがわかると思うから、お姉ちゃんに言っときますね」

そして現れたのは、ウェーブがかかった長い黒髪にホットパンツの若い外国人美女だった。

お姉ちゃんはスーファミを起動させるシステムのカギの使い方を教えてくれたものの、外部接続にするリモコンのボタンがわからなかった。

「スミマセン、私、マダ漢字ガ読メマセン」

と言う。

確かに、テレビのリモコンは漢字だらけ。「入力切換」が読めないというわけだ。

「あとはわかると思いますから大丈夫ですよ」

と私が引き取った。

 

お姉ちゃんは民宿内で、私たちが泊まる部屋の斜め隣の部屋に暮らしているようだった。

宿の手伝いをしているが、タバコ休憩が多く、一般人的なバイト従業員には見えない。

何の間違いでこんなところにいるんだろう??

日本円が安いから、出稼ぎとも思えない。

くっきりした目鼻立ちでアジア人ではないけれど、白人でもなく黒人でもなく、何人なのかもわからない。

ワーキングホリデー?留学生?

どれもなんか違う。

夫の推理はこうだった。

民宿は、女将さんとその息子が経営しているが、台所にもう一人、息子の奥さんらしい女性が働いていた。

よく見えなかったけど、彼女は外国人ではなかったか。

お姉ちゃんは彼女の連れ子で、母親の再婚でここへ連れて来られたのだ。

推測する国は中南米のどこか。さしずめブラジルあたり。日系ブラジル人という線もあり。

日本の田舎の嫁不足はここまで深刻なのだ…。

 

その後、その民宿を紹介してくれた私の伯母と電話する機会があり、恐る恐る、民宿の従業員事情を尋ねてみた。

「息子は結婚していないはずですよ。ああ、それはご近所の主婦が台所仕事を手伝いにきてくれるって言ってましたよ。カヨちゃんも高齢で手が回らないらしくて」

「外国人の女の子がいたんですけど…」

「あら、今年も来てました? カヨちゃんの孫が毎年夏休みの間遊びに来てるらしいんですよ。カヨちゃんの娘は若い頃からドイツに行ってて、そのままドイツ人と結婚しましてね。でも孫は、お母さんの里が気に入ってるらしくって」

事実は想像より単純明快。

誰だよ、嫁不足とか言ったのは。

 

④の謎:鍵盤ハーモニカの虫

サトイモはかつて『大ピンチずかん』という絵本がお気に入りだった。

日常のさまざまな場面での困り事に点数をつけて解説する、あるあるネタだ。

その中に、「自転車にハチがとまっている 大ピンチレベル81」というものがあった。

家の中でコバエが発生して、食卓にも飛んできたとき、

「お箸にコバエがとまった!大ピンチレベル75!」

なんて言って笑っていると、サトイモが、

「そういえば、学校で鍵盤ハーモニカの吹くところに虫が止まって困ったことがあったよ〜」

と話してくれた。

「そのあと気持ち悪くって、もう吹けない〜!ってなった」

「そりゃそうよね〜」

「洗わなかったらもう無理〜!って思ったけど、授業の途中だし、洗いに行けなくて、そのまま我慢したんだ〜」

「え〜?そうなの?先生に言って、洗いに行けばよかったのに」

「言おうとしたけどぉ、そういうのができないから学校なんだよ〜、そういうのがわかってもらえないんだよ〜」

「そうなのかぁ。それは辛かったねぇ」

 

そういえば、まだサトイモが学校に行っていたとき、担任の先生からこんな話を聞いた。

音楽の授業で鍵盤ハーモニカの練習をしていたとき、サトイモが途中から全く吹かなくなったことがあったらしい。

理由を聞いても答えないし、先生が促しても頑として吹かなかったそうだ。

「幼稚園のとき音楽会の練習が嫌でよく逃げ出してたんですけど、それが関係してるんでしょうか…」

私は勝手にそう理解した。

でも、違う。正解は虫だったのだ。

その後、不登校の相談のときに、先生にも、

「虫が吹口に止まったせいで、気持ち悪くて吹けなかったそうなんです」

と伝えた。

「そういえば虫がどうこう言ってました。虫の動きをずっと目で追っていたんで、てっきり虫に興味があるから、そっちに気持ちがいっているのだと思ってました」

サトイモは都会っ子なので、虫は嫌いで怖がるタイプ。

ASDの男の子なら昆虫が好きそうな気がするが、それもステレオタイプな思い込みにすぎない。サトイモはカブトムシとクワガタの違いもわからないような子だ。

先生に、サトイモの好みまで理解しろとは言わない。

ただ、サトイモにとっては、このような「辛いけど我慢しているしかなかった。なのに注意された」という学校経験の一つ一つが積み重なって、不登校につながっているのだろう。そう私は理解した。

サトイモが、

「学校に行ったら、心がけずられるんだよ」

と言ったことがある。

なかなか詩的な表現をしたもんだ。

だんだん、サトイモが学校を嫌がる気持ちがわかるようになってきた。

現在、私の大ピンチレベル10,000。