奇才サトイモの元気が出る発達日記

発達障害(ADHD&ASD)の疑いがある息子サトイモの子育て日記です。

欠席の夕涼み会

一昨年、家族で淡路島の離島、沼島を旅行した。

夫は沼島をいたく気に入って、自分の友達家族を誘い、ずいぶん前から、海の日の三連休に再訪の旅行を計画していた。

 

幼稚園の7月のスケジュールをもらったとき、日程を見てギョッとなった。

旅行の日と、幼稚園行事である「夕涼み会」がかぶっていたからだ。

 

夫に話すと、

「土曜日に行事があるなんて知らんやん。休むしかないな」

と簡単に言った。

「夕涼み会って、何するん? 夜に幼稚園に集まるだけやろ?」

 

ところが、そう思っていたのは私たち親だけだった。

「夕涼み会は年長さんだけが参加できる、とっても楽しい特別な行事」。

年度当初から先生方に繰り返し言われていたそうで、大変楽しみにしていたらしい。

それに、当日のお楽しみ会に向けて、飾り付けを作ったり、カードを書いたり、歌やダンスを練習したりと、クラスでは盛り上がっていたそうなのだ。

 

旅行とバッティングしたので、夕涼み会は休むことになったよ、と伝えると、サトイモはひどく凹んだ。

不参加が判明した翌日、私から先生に欠席を伝えようと思っていたら、登園して早々、園長先生に、

「ぼく、夕涼み会なしになった!!」

と訴えた。

会う先生、会う友達それぞれに、

「夕涼み会、ぼく、なしなんだ」

と、ぼくは可愛そう、をアピールしていた。

 

年長さん個別懇談

7月上旬にあった個別懇談で、担任の先生から聞く話のほとんども夕涼み会不参加にまつわるトラブルだった。

個別懇談の案内文には「一人15分」と書いてあったのに、私が最後だったこともあって1時間も話し込んでしまった。

 

不参加が決まったあとの数日間は、幼稚園での制作や体操などに参加しない日が続いていたらしい。

特に夕涼み会関連の制作などでは、

「ぼく、夕涼み会は関係ないのに、どうしてやらなきゃいけないの!」

とスネていたそうなのだ。

お部屋から出ていってしまったり、イスに座らずに床にねそべってしまったり、隣の子にちょっかいをかけたり…。

それで先生に注意されると、さらに気分が落ちてしまって、悪循環。

 

「子どもたちは大人みたいに上手に気持ちの切り替えができないものなんですけど、特にサトイモくんは気持ちの切り替えが苦手なところがありますね。楽しみにしていた夕涼み会に参加できなくて、でも旅行にいけるのうれしいし、自分でもどう処理したらいいか、わからなくなってるんでしょうね。複雑な気持ちはわかるんで、『やりたくない、がんばれない』っていうときはできるだけ許してあげたいんですけど、ほかの子の手前、一応注意しないと、『なんでサトイモくんだけ勝手なことしていいの?』ってことになるので…」

と先生も複雑な気持ちを教えてくれた。

頭ごなしではなく、理解をしたうえで注意じてくれるなんて、優しい先生でよかったなぁ、と思う。

 

「副園長も、『サトイモくん、旅行行けるなんていいなぁ! みんなは夕涼み会をするけど、旅行に行けるのはサトイモくんだけでしょう? みんなは夕涼み会がどうだったかサトイモくんに教えるから、サトイモくんはみんなに旅行がどうだったか、たくさん話して聞かせてよ』と声をかけてます。それで少しずつ、気持ちの折り合いがついてきたのかなぁ、と思います」

担任の先生だけでなく、園長先生、副園長先生

、ほか、いろんな先生に気を使ってもらって、恐縮してしまう。

サトイモは幼稚園の先生に恵まれたなぁ。

 

小学校の壁

『武田砂鉄のプレ金ナイト』というラジオ番組で清水ミチコがゲストの回で、みっちゃんが「小学校にはいって間もなく、『幼稚園がいい』と直訴した」というエピソードが紹介されていた。

私の「こんなおばさんになりたい」理想像みっちゃん。

みっちゃんでさえ、幼稚園と小学校の差を感じて、小学校に入ったとき辛かったという。

「幼稚園はラクだった〜。歌って踊ってればいいんだもん。小学校って今から考えてもキツイよね」

そのことについて語る時間は短かったけど、すごく印象に残った。

 

今、幸いにもサトイモの幼稚園の先生たちは理解ある人たちだ。

サトイモの特性をふまえて、対処してくれている。

でも来年、小学校に上がったときどうだろうか?

「幼稚園に戻りたい」と泣くことにならないか、今から不安でいっぱいだ。

 

「ねえねえ、ぼく夕涼み会行けなかったから、来年もう1回、年長さんやるってのはできる?」

サトイモがそう言ってきた。

夕涼み会のためだけに、幼稚園留年するの?!

 

サトイモは3月末生まれ。

発達もゆっくりだし、1学年留年してもちょうどいいかなぁ、と思わなくもない。

小学校留年するより、幼稚園留年のほうが楽しいはずだ。

できることなら、私もそれがいいと思う。

 

でも、なぜ留年したのか理由を聞かれたときのことを想像すると、気まずくなるのは必至だ。

「年長さんを2年やったんですって?何か理由が?」

「夕涼み会に参加できなかったものですから」

「病気か何か?」

「いえ、家族旅行で」

「長期で海外とか?」

「いえ、淡路島に一泊二日で」

…幼稚園留年の理由としては、どうかしてると言わざるをえない。


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楽しかった沼島旅行も終わり、夕涼み会も終わり、間もなく幼稚園も一学期が終わる。

サトイモは相変わらず、気持ちの切り替えがうまくない。

今朝も、登園途中に突然降り出した雨に、傘を持ってないことでパニックになってしまった。

「雨が降ってるのにカサも長靴もないなんて!おうちに帰らないとダメ!」

と泣きながら来た道を戻った。

大人なら傘もささない程度のパラパラ小雨で、幼稚園に着いた頃にはすっかりやんでいた。

 

おかげで私は遅刻。

小学校入学が思いやられる。